50代、転職で「上司が年下」に。やりにくさを感じたときは自分に目を向けて
50代の読者が悩んでいる「年下上司との向き合い方」を、産婦人科専門医の高尾美穂先生が解決します。自分の仕事への向き合い方や上司とのコミュニケーションについて考えてみましょう。
読者のお悩み:年下の上司が冷たく、接し方に悩みます
半年前、転職をしました。職場の上司は30代の年下。仕事はできますがまじめなタイプで、一度聞いたことを質問すると「この前、教えましたよね?」と冷たく返されてしまい、やりにくさを感じています。(Sさん・54歳)
高尾先生の回答:上司の年齢は関係なし。まずは責務のまっとうを
日本の多くの企業では勤続年数や年齢で地位が高くなる年功序列制度を採用しているため、「上司=年上」の意識があるかもしれません。しかし、読者の皆さんの年齢になると、上司が年下のケースも増えてきます。転職したのならなおさらです。 医師として長年働いているものとしてアドバイスすると、仕事で大事なのは成果を上げること。そこに年齢は関係ありません。相談者さんは「年下の上司」への接し方に悩んでいますが、逆に言えば「年上の部下」をもつ上司も同じこと。部下には見えない苦労を抱えているさまざまな葛藤が、上司の態度につながっているのかもしれません。 だれもが年齢が上がると、新しいことを覚えるのが難しくなってきます。それを指摘されるのはけっして気持ちのいいことではありません。ただ十分なスキルがないことで上司に迷惑をかけている可能性があるなら、一度言われたことを忘れないようにメモをするなど、努力を重ねる姿を見せることも必要です。
人生経験を生かしてよい関係性を築けるように
仮に相談者さんの上司の性格に難があるとしても、人を変えるのは難しいこと。「そういう人なんだ」と割りきりながらも、まずは自分の責務をまっとうしましょう。新しい職場に入って間もないですから、時間がたてば次第にコミュニケーションがとれるようになると思いますよ。適度に距離をとりながらよい関係性を築くのも、人生経験が長い相談者さんだからこそ、できるのではないでしょうか。 それでもうまくいかないなら、職場を辞めることも選択肢のひとつ。決めるのは自分です。ただ、厳しいことを言うと、自分と合う人しかいない職場は、まずありません。仕事を続けることは、経済的な安定はもちろん自分の自信にもつながります。今の状況を前向きに捉えて、うまく乗り越えていってほしいですね。応援しています。
ESSE編集部