9歳で“飛び級”バルサ下部組織へ。久保建英、中井卓大に続く「神童」西山芯太の人間的魅力とは
オープンなメンタリティと貪欲さで周囲を巻き込む
――西山くんの選手としての魅力は、どんなところにあると思いますか? 羽毛:パーソナリティやメンタリティは大きな魅力だと思います。同い年や年上の選手に対しても、大人に対しても常にオープンな性格で、毎回モチベーション高く練習に来てくれるので、こちら側のテンションも自然と上がるんです。左足のキックはパンチがあっていろんな種類のキックが蹴れるので、誰が見てもずば抜けていますし、積極的にシュートで終わり、シュートまでの過程を逆算してプレーを積み上げられる。「こうしたほうがいいんじゃないか」とアドバイスすれば、すぐにイメージを具現化して見せてきます。それが自分にとって必要だと思ったら取り入れるし、しっくりこない時はすぐに切り替える。そういう思考力や決断力も、彼の魅力だと思います。 ――ポルタでは、どんなふうに武器を伸ばしたのですか? 羽毛:彼がポルタにいた時に意識していたのは、「ボールを奪う」ことです。「守備からやらないと、自分の武器であるシュートまで行けない」と感じたようで、1年生の時には守備を意識し始めていました。普通、同じぐらいの年代では自分の得意なキックを磨くことに夢中だと思いますが、芯太はその点で違っていたのが印象的でした。 ――味方と連係して奪う意識や、協調性も身につけていたんですか? 羽毛:そうですね。ポルタでは個の部分にフォーカスして指導をしているので、まずは自分で奪い切る力をつけた上で、「それが全員でできれば、組織として前から奪える」ということを理解して戦っていたと思います。 ――他に、試合や練習で印象的だった出来事やエピソードはありますか? 羽毛:試合の時のベンチでの振る舞いは印象に残っています。上の学年に入る時は、彼自身が結果を出さないと周りの選手たちも認めてくれないので、最初はベンチスタートだったんですが、芯太はただ出場機会を待つのではなく、常に話しかけてくるんです。「俺が出たらこうできるよ」とか、「こうしたほうがいいよ」と言ってきたり。それに、わざと目の前でアップするので、気にしてしまうんですよ(笑)。それがいいか悪いかは状況にもよると思いますが、まだ小さい芯太からそこまで貪欲にアピールされると、こちらも起用で悩んだ時にはやる気のある子を出してあげたいので、「芯太にチャンスを与えてみよう」と思うんです。それで試合に出すと、しっかり決めて結果を出してくる。だから、他の選手たちも認めざるを得ない。そういうすごさはありましたね。 ――練習でも、その貪欲さが周囲に影響を与えそうですね。 羽毛:そうですね。パス練習をしていても、みんなが「ヘイ」っていう声を出す中で、明らかに声の大きさが違って、グラウンドに響き渡るんです。それを聞いてみんながやる気になって、「これがベースだから、自分ももっとやらなきゃ」という空気になっていました。