遠隔教育や遠隔医療…途上国のベストプラクティスを衰退する地方に!地方の学生と世界をつなぐとはどういうことか?
■ 学生の率直な疑問にどう答えるか? 伊藤:確かに、紛争や政変、気候変動とそれに伴う災害など、どれほど支援しても果てしない気持ちになるし、海外の困っている人より自分の明日の方が心配になるのも当然です。 ただ、学生にはグローバル化した現在、日本だけが豊かさを維持し続けることは難しいと伝えています。特に今は、感染症、気候変動、戦争、経済格差等、それぞれが百年に一度とも言われる危機が同時に複数発生しています。それぞれの危機は、日本だけが解決することも、また日本がネガティブな影響を受けないこともあり得ません。 国際社会に対する支援、また支援に対する理解を得ること、それらは時に虚しくなるような努力かもしれない。でも、私はマザーテレサの言葉を学生に話します。「私たちのやっていることは、すべて大海の一滴に過ぎません。でも、この一滴を注がなければ海の水は一滴分減るのです」。大海の一滴であっても、注ぎ続けなければならないと思います。 草生 亜紀子(くさおい・あきこ) ライター、翻訳者。産経新聞、ジャパン・タイムズ、新潮社などを経て独立。文筆業と並行して、NGOピースウィンズ・ジャパンでウクライナ支援などの仕事にも携わる。著書に『理想の小学校を探して』『逃げても、逃げてもシェイクスピア 翻訳家・松岡和子の仕事』。中川亜紀子名での訳書に『ふたりママの家で』がある。
草生 亜紀子