指示しても「部下に動いてもらえない上司」に欠けている3つの態度
重要感を持たせる
人が欲するものは、健康と長寿、睡眠、性欲の満足、子孫の繁栄など多岐にわたります。その中で最も満たされないものが、「自己の重要感」だと著者は伝えています。 心理学者のウィリアム・ジェイムズは、「人間の持つ性情のうちで最も強いものは、他人に認められることを渇望する気持である」と述べたといいます。この自分が重要であると感じること、現代の承認欲求に近いものこそが、人を動かす上で大切になるのです。 人扱いが巧みで石油王とも言われたジョン・ロックフェラーには次のエピソードが残っています。 エドワード・ベッドフォードという共同出資者が、南米の買いつけの失敗で会社に100万ドルの損害を与えたことがありました。その時、ロックフェラーはベッドフォードに対して、投資額の60パーセントを回収したことをほめたそうです。 相手に対して重要感を持たせられない人は、偉大な哲学者のラルフ・ワルド・エマーソンの言葉を肝に銘じておくべきでしょう。 「どんな人間でも、何かの点で、私よりも優れている。私の学ぶべきものを持っているという点で」
人の立場に身を置く
第一次世界大戦を戦ったイギリスの首相ロイド・ジョージは、他連合国の指導者が影響力を失っていく過程でも、彼一人がその地位を保持していたと言われています。その秘訣を問われた際の言葉は、「釣り針には魚の好物をつけるに限る」だったそうです。 当たり前だと思うかもしれませんが、自分の好物ではないことに、改めて注目すべきでしょう。人を動かすためには、その人の好むものを問題にして、それを手に入れる方法を伝えることが良いそうです。 幼稚園入園前日の子供が、入園したくないとぐずぐず言っていた場面で、幼稚園にいきなさいと命令するのではなく、幼稚園に行きたくなるように仕向けたエピソードが紹介されています。 まず幼稚園で行うだろう面白いことを夫婦で挙げて、それを実演していきました。すると子供がその様子を見て、入りたいと言い出しました。そこで、幼稚園でやり方を教わってからでないと駄目だと言ったのです。すると翌朝には、その子供は幼稚園に遅れないように椅子で居眠りをして両親が起きるのを待っていたのだそうです。 より文明的な言葉ではエンパシーとも言われる、相手の立場でものを考えられる能力や感受性にも近いことに思われます。相手の人生にとっての主役はあくまでも相手です。相手が進んでしたいことが何かを考えておくことは、何をお願いする際にも重要なことだと言えるでしょう。