【解説】岩手山で初の噴火警戒レベル引き上げ 何がおきている?警戒される「水蒸気噴火」とは
■2015年「箱根山噴火」衛星観測データで“局地的膨張”をキャッチ
2015年、日本屈指の観光地神奈川県の箱根町でごく小規模な水蒸気噴火がありましたが、この時、噴火が発生した大涌谷でも直前に局地的な地面の膨張が確認されていました。今回と同じく、「だいち2号」がレーダーで観測したデータをもとに国土地理院が解析した結果です。 膨張がみられたのは、立ち入りが規制されていた大涌谷の半径100メートルほどのごく狭い範囲で、地面の隆起量は10センチ前後でした。 一方、岩手山では近年、噴火がおきていないため噴火の前にどのような変化がおきるのか、データが少なく予測が難しいといいます。岩手山で直近におきた噴火は、火山観測体制が整備される前の1919年のこと。この時は、山の西側にある大地獄谷付近で水蒸気噴火が発生しました。
■行楽シーズン前に…今後どうすべき?
今回、気象庁は西岩手山の想定火口からおおむね2キロの範囲で、噴火にともなって飛散する大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。 岩手県など地元自治体は、1998年以来となる岩手山の入山を禁止する措置をとっていますが、気象庁は、現時点では地下深くにあるとされるマグマが上昇してくる兆候はみられず、仮に噴火がおきたとしても大地獄谷の想定火口域周辺に影響を及ぼす程度とみています。 岩手山周辺にある温泉や観光地に影響はありませんので地元自治体の指示に従って、規制範囲に立ち入らないようにしてください。