【解説】岩手山で初の噴火警戒レベル引き上げ 何がおきている?警戒される「水蒸気噴火」とは
秋の行楽シーズンをむかえるなか、登山で人気の「岩手山」で、火山活動が活発になっています。今後、噴火が発生するおそれがあるとして、気象庁が初めて噴火警戒レベルをレベル2の「火口周辺規制」に引き上げました。
■岩手山で噴火警戒レベル2へ引き上げ 何がおきている?
気象庁は2日午後3時、岩手県にある「岩手山」で5段階の噴火警戒レベルを、一番下の「レベル1」から、「レベル2」の「火口周辺規制」に引き上げました。岩手山で2007年に噴火警戒レベルが導入されて以降、「レベル2」への引き上げは今回が初めてです。 気象庁によりますと、岩手山では今年2月ごろから、人工衛星を使って山の膨らみなどを計測するGNSS観測で、山体の深いところが膨らむような変動が観測されていました。
さらに7月下旬以降、火山性地震が増えるなど、火山活動が高まっている可能性があるとして注意を呼びかけていました。 そして、国土地理院が先月26日に陸域観測技術衛星2号「だいち2号」を使って地表の変動を観測したデータを解析したところ、岩手山の西側にある、大地獄谷周辺で衛星に近づく変動が観測されたということです。 従来の山の深い部分が膨らむのとは異なり、地下の浅い部分で何かが膨らんでいることを示していて原因は特定できていないものの、地下水が熱で膨張し、地面を押し上げている可能性があり、「水蒸気噴火」が発生するおそれがあるとしています。 こうしたことから、気象庁は2日、噴火警戒レベルの引き上げに踏みきりました。
■10年前の戦後最悪の火山災害「御嶽山噴火」も「水蒸気噴火」
火山の噴火には、いくつか種類があります。今回、岩手山で警戒されているのは「水蒸気噴火」です。 これはマグマが地表に噴き出す「マグマ噴火」とは異なり、地下水がマグマなどにより温められて、高温高圧になることで、爆発的に噴出する現象のことです。2014年、多くの死者を出した御嶽山の噴火も、「水蒸気噴火」でした。 「水蒸気噴火」は、「マグマ噴火」と比べると規模が小さいうえマグマが地表付近まで上がってこないため、火山性地震なども少ないことが多く前兆が捉えにくいとされています。