努力の3年生スーパーサブが後半だけで3アシスト!! 帝京大可児のスタイルで輝くMF中村一輝「ここまで続けてきてよかった」
[12.31 選手権2回戦 帝京大可児高 5-1 大分鶴崎高 味フィ西] 絶対的エースの先制点で1-0とリードしながらも、なかなか次の1点が奪えなかった帝京大可児高の全国初戦。大量5得点というゴールラッシュに導いたのは、仲井正剛監督が「努力、努力を積み上げてきた」と信頼を寄せるスーパーサブの3アシストだった。 【写真】福田師王が大胆イメチェン「ライオンじゃん」「圧倒的金ピカ」 1-0で迎えた後半5分、仲井監督はMF中村一輝(3年=帝京大可児中)を右サイドハーフに投入。停滞していた右サイドを活性化する最初のカードとして、数的不利に陥っていたインハイ予選決勝で窮地から救うゴールを決めた実績を持つ背番号18に大役を託した。 中村は絶対的エースのFW加藤隆成(3年)と同じ帝京大可児中出身だが、その立場は大きく異なり、「中学校の時はそれほど試合に出ていなかったけど、努力、努力をして積み上げてきた選手」(仲井監督)。当時の中村自身もこの舞台に立てることは想像していなかったという。 しかし、その17歳が選手権デビュー戦で華々しい結果を出した。 まずは後半20分、右サイドで前を向くと、前線への浮き球パスでMF青木嘉宏(2年)の裏抜けを促し、追加点をアシスト。続く同24分には深くえぐったドリブルからふわりとしたクロスを上げ、これをMF松井空音(3年)が決めた。 さらに後半40+1分には左サイドのスペースに潜り込むと、狭いスペースの中からプレゼントパスを通し、同じ途中出場のMF鶴見一馬(3年)のダメ押しゴールをアシスト。後半だけで3ゴールを演出する大仕事を成し遂げた。 中村は夏のインターハイでもメンバー入りし、2試合に終盤出場していたが、10分間以上のプレータイムを得られるのは初めてという中、全国初アシスト。一気に3つの結果を重ねる大活躍に「アシストも3つできたので流れを変えられたと思う」と胸を張りつつ、「もともとアシストは得意だったけど、公式戦になるとなかなかできていなかったので、こういう舞台でやれたのはすごく自信になったし、嬉しかった」と喜びを口にした。 また「彼の努力が報われた」と笑顔の仲井監督は「中村がかなり勇気を持って運んでくれて、逆を取りに行ってくれてかなり流れが良くなった」とアシスト以外のプレーにも高評価。中村自身も「相手の逆を突くボールタッチは得意」と自己評価しており、持ち味が全国舞台で発揮できたことが大きな手応えになったようだった。 なかなか出場機会が得られない中でも帝京大可児のスタイルを信じ、「自分は身体が強くなかったり、足があまり速くなかったりというのがあって、でもこのチームはボールタッチやパスワークで補えば出してもらえる。監督が求めているものを少しでも出せるように意識していた」という努力の積み重ねが結実。「ちょっとずつ年を重ねるにつれて成長してきた感じで、こういう感じでここに出られるとは中学の時は思っていなかったので、ここまで続けてきて良かったなと思います」と感慨を口にした。 もっとも、日本一を狙うチームにおいて、スーパーサブの活躍は今後の戦いでも不可欠。「たぶん途中から入ると思うのでアシスト、ゴールを決めてチームの流れを変えられるように頑張りたい」と話す162cmの小さなアタッカーは3回戦・前橋育英高戦に向けて「前育は強いと思うけど、今までやってきたことを全部出し切れるようにいい準備をして自信を持って頑張りたい」と力を込めた。