LAST ALLIANCE 11年ぶりに音源を発表「リリースまで長かったけど、やっぱりいいでしょ?と言える出来栄えになった」
――「盲目のストレンジャー」が出来た後、残りの3曲はどういう形で進めたんですか? MATSUMURA 「ANZAI、デモ何があるの?」って、お互いに曲を出し合ったんですよ。「Rewind」はANZAIがフルで作ってきた曲ですね。それが良くも悪くもラスアラの時代から変わらないデモの作り方なんですよ(笑)。デモとしての仕上がりはミニマムだけど、肉はどうでも良くて、骨がしっかりとANZAIらしいデモに仕上がっていたから。KEITAが関わったことですごくかっこ良くなりました。 ――デモからブラッシュアップされたと。「Rewind」はANZAIさんはどんなイメージで? ANZAI ラスアラ休止後にストックしていた曲のひとつです。その当時はラスアラの次のアルバム用に作った感じですね。僕の場合、デモはある程度きっちり作るんだけど、当時のラスアラのみんなのニュアンスを踏まえて作りました。 ――「Rewind」は場面展開があり、ストーリー性豊かな曲調です。 ANZAI 今みたいにわかりやすい緩急を付けながら、ドラマチックに仕上がったのはKEITAの手が加わった部分が大きいですね。KEITA、凄いなあと思いました(笑)。 KEITA 手探りではあったけど、荒金さんが冒頭で言ったような「2024年のラスアラ」というイメージはありました。ラスアラをアップデートさせる要素として、ピアノ、ストリングス、ギターの音色、ドラムのフィルでかっこいい感じを出して……そういうものをごちゃ混ぜにしつつ、まとまりがあるように仕上げたいなと。これも時間がかかりました。デモを貰ってから1、2週間かかったんですよ。 ――「Rewind」は新しいラスアラ感が強烈に打ち出されてます。 MATSUMURA これは言っていいのかわからないけど、TK from 凛として時雨が大好きで、「ああいうものをやりたいなあ」とKEITAに甘く振ったんですよ。だから、KEITAの頭の片隅にあったのかもしれない。この曲はANZAIが作ってるし、ANZAIが歌っているから、一番フィットしているしね。それでHIROSHIが叩くと、またラスアラっぽくなるんですよ。メロディ至上主義ではあるけど、このインストだけを聴いてもエンンターメント性があるし、面白いなと。お茶の間にも刺さるだろうし、でもすげえ尖ってる。これはわりとラスアラの新境地かもしれない。HIROSHIもドラムは「Rewind」が一番面白かったんじゃない? HIROSHI節が詰まっているから。 HIROSHI KEITAが打ち込んでくれたものを聴いたら、その時点で俺のフレーズが盛りだくさんだったから(笑)。手癖だらけのフレーズだからね。 MATSUMURA KEITAのデモを聴いたときに「これHIROSHIじゃない?」って(笑)。あれはKEITAにしかできないよな。 HIROSHI だから、すごくやりやすかった。アプローチは以前のラスアラと変わらないドラムですね。自分らしさも考えず、思うように叩いているだけだから。ドラムって違う人が叩くと、違う表情になるじゃん。これは新しいことをやっているつもりはなくて、往年のラスアラを出した感じ(笑)。 MATSUMURA 一番HIROSHIっぽいよね。ドラムはこの曲が好きだもん。 HIROSHI 「盲目のストレンジャー」の方が新しいことにトライしてる。何もしてないから(笑)。曲がかっこいいから、ドラムを入れる必要がなくて。 MATSUMURA 今の言葉に集約されてますね。これが10年前だったら、曲はかっこいいけど、俺のドラムでもっとかっこ良くするという感じだったから。 ANZAI ははははは。 MATSUMURA それで曲が崩れて、忖度が働いて、何も言えないみたいな。それがすんなりいけるようになったんですよ。 HIROSHI 時を経て、メンバーに対する敬意がすごく出てきて、そこがでかいかな。以前は俺が俺がという感じだったけど、敬意があるから、まかせられるようになったから。 MATSUMURA HIROSHIが大人になったんだよ、マジで(笑)。 ――HIROSHIさん、思い当たるところは? HIROSHI 何だろう、それも時の流れじゃない?(笑)。この10年間でいろいろ振り返ったときに、あのときにああやっていたら、どうなっていただろうと考えることもあったから。まかせていたら変わっていたのかな、と思うこともあるしね。 ――それが曲のまとまり感にも表れているんでしょうね。 MATSUMURA それはあるかもしれない。まとまってると思う。 ――「Rewind」はギターの音色もキラキラしてますよね。 MATSUMURA 「盲目のストレンジャー」、「Rewind」に関してはメジャー第一線でご活躍されてるエンジニアさんにお願いしたんですよ。そこはチャレンジでしたけど、総じて満足してます。だから、いままでのラスアラとは全然違うと思う。皆さんいいヘッドホン、いいスピーカーで聴いてほしいですね。