「取材源の秘匿」脅かし「権限のないデータ消去」も…鹿児島県警の捜索
そんな証拠保全の重要性を「組織的にプラスになることはない!」と断じて廃棄を促す文書が明るみに出て、おそらくは警察庁からも報告を求められたのでしょう、県警は表現を一部書き換えて出し直さざるを得なくなりました。今回、家宅捜索の後で捜査員が消したとされるのは、元の文書の画像のようですが、既に世間に流布され、国家公安委員長も記者会見で存在を認めたものを消してどうなるのか。捜査員に消す権限はないはずで、腹いせとも取れますし、ある意味、県警の隠蔽体質を露呈したともいえる行為です。 ■えん罪・不祥事が続く鹿児島県警 最後に三つ目の問題点は、そもそも鹿児島県警の不祥事の多さです。過去20年で見ると、えん罪事件が2件。うち1件は有名な「志布志事件」で、2003年の県議会議員選挙で当選した無所属議員の陣営が住民に焼酎や現金を配ったとして、公職選挙法違反容疑で議員本人ら12人を逮捕しましたが、違法な取り調べで自白を強要されたとして全員に無罪判決が出ました。もう1件は2012年、鹿児島市の繁華街で女性に性的暴行をしたとして逮捕した男性に、2審の高裁判決で逆転無罪が言い渡され確定しています。 また、公表されなかった不祥事が少なくとも4件。例えば2020年に警察官3人が捜査書類を偽造したとして書類送検され、処分されましたが、共同通信が報じるまで公表せず、去年10月に南日本新聞が報じ、本田・元警視正も隠蔽を訴えた警察官によるストーカー事件は、県議会で質問されても処分内容すら明らかにしませんでした。 近年は警察官による性犯罪が多発し、本田・元警視正が告発し5月に枕崎署員が逮捕されたトイレ盗撮事件を含め、2020年以降だけで計5件。この中には女子中学生の児童買春や、13歳未満の女児への強制性交も含まれます。 本田・元警視正が意見陳述で指摘したように、不祥事の多発が隠蔽を生むのか、それとも自浄作用が働かない隠蔽体質が不祥事を生むのか、私にはわかりません。