2025年の金融変革「7大予測」とは? NTTデータ イノベーション担当の場合
AIの進化
2024年12月に発表されたOpenAIのGPTo1 pro modeは月額200ドルという価格も相まって大きな注目を浴びたが、こうした新しい生成AIモデルについて2025年も次々と発表されるであろう。生成AIそのものは引き続き進化が続き、その結果できることが増える中で金融でのユースケースも広がっていくと考えられる。 この流れは前向きな話であるが、一方でたとえばEUでのAI規制法などAIに対する規制もより厳しくなっていく方向で進んでいくだろう。決められた規制を順守していくことはもちろんのこと、AIガバナンスといわれる個社でのAIに対するガバナンス整備は先行企業だけではなくAIを利用するすべての企業について自主的なガバナンス態勢の構築が求められていくことになる。 AIガバナンスは2025年も生成AIの進展と同期をとる形で進んでいくことになるだろう。また、生成AIの精度が上がるつれて応用的なユースケースが増加することも記載される。たとえば、デジタルヒューマンといわれるデジタル空間上で人間と同様の振る舞いをすることが期待されるリアルな3Dモデルは、受け答えの機能は生成AIと連携することが想定される。デジタルヒューマン自体は人手不足での接客などに使われることが期待されており、今後の実装は生成AIとも同期をとりながら進んでいくことになるだろう。
BaaS
2024年はJREバンク(注5)が華々しくデビューし大きな話題となった。2024年後半には、人気が殺到したために急遽取りやめになってしまったが、ヤマダ電機のBaaSの件も話題になった。 こうしたBaaSを使った一般事業会社での利用というのは2025年もさまざまな取り組みが公表されていくことが期待される。 BaaSの利用は一般事業会社が消費者に対して魅力的なリワード設定ができるのであればターゲットとしている顧客層を取り込む有効なツールとして位置付けることができるだろう。 また、たとえば最低の預金金額を設定することで、一定程度以上の資産余力を持った顧客層を呼び込むなど、リワード以外での工夫の余地もある。さらに、銀行の口座開設が絡むため厳格な本人確認が必要となることから、正確な顧客情報を獲得できるというメリットもある。併せて既発行のIDサービス、ポイントサービスとの連携をBaaS利用の前提とすれば、ID統合の起点にすることも可能であろう。 こういった一般事業会社としてのメリットに加えて、金利上昇傾向が見えてきている中では、BaaSを運営する銀行側での資金調達としてのメリットもある。こういったことから2025年も新しい取り組みが出てくることと予想する。