【大学野球】明大、立大の女性主務が「ラストシーズン」をテーマに対談
「少し寂しい気持ちに……」
東京六大学秋季リーグ戦の開幕を2日後に控えた9月12日、東京都内で懇親会が開かれた。1910年創部の明大野球部史上初となる女性部員で主務を務める岸上さくら(4年・立命館慶祥高)と、1909年創部の立大で史上2人目の女性主務・遠山夏澄(4年・駒場高)がラストシーズンをテーマに対談した。 ――9月14日に秋のリーグ戦が神宮球場で開幕します。この開幕週で立大は慶大と対戦し、明大は第2週の東大戦からスタートします。ラストシーズンへの率直な思いを、まずは、春2位の明治大学からお願いします。 遠山 前シーズンの順位順ですか……(立大は春5位)。悔しい~~です!!(苦笑)。 岸上 はい。(一呼吸置いて)私としては不思議な感情なんですが「秋開幕」と聞くと、少し寂しい気持ちになりました。 遠山 よく分かります。ラストシーズンというのが楽しみな一方、各校さんとあと1回ずつしか戦えないというのが……。勝ち点を取れたら良いんですが、取れなかったらもう、私たちの代では取り返せない。あらためて、身の引き締まる思いがします。明治さんとの対戦は、第5週(10月12、13日)ですね。 岸上 (遠山とは)プライベートでも仲良くさせてもらっている分、試合前、神宮のベンチ前で礼をするときに「戦う相手なんだ」というのが、そこで初めて芽生えて……。終わったら(神宮球場内の)マネジャー室で「お疲れ!!」という形で話をしますが……。 遠山 マネジャーも当然、対戦5大学との対抗戦意識があり、負けた試合後には、落ち込んでいる顔を見るときもあります。この春、立教が1回戦で明治さんに先勝したときも(岸上は)悔しそうにしていて……。(立大は2回戦から連敗して勝ち点を落とし)こちらは負けたときも、気丈に振る舞っているつもりでも、そう見られていたかもしれません。 ――秋のリーグ戦のキーマンは誰ですか。 岸上 明治のキーマンはキャプテンとしてチームを束ねている宗山(塁、4年・広陵高)です。春はケガで苦しんだ分、宗山の最後の逆襲が始まりますので、ご期待ください!! 遠山 私も一緒になりますが、主将の田中(祥都、4年・仙台育英高)です。彼は厳しいタイプではないんですけど1年間、チームリーダーとして、昨秋からいろいろなこと(一部の野球部員による複数の問題行為が一部報道で発覚)があったときから、木村泰雄監督と話し合いながら、野球部の運営を一から見直し、底上げをしてくれた功労者ですので、苦労が報われてほしいと思います。この夏はキャンプにも帯同しまして、部員たちが一日中、懸命に練習している姿に感銘を受けました。選手全員に期待をしております。 ――最後に秋の目標をお願いします。 岸上 チーム成績としてはリーグ戦優勝で天皇杯奪還、そして、明治神宮大会で秋日本一という目標があります。4年生は大学卒業後も野球を続ける人、ここで一区切りを迎える部員といますが、ケガやアクシデントがなく、全員が無事にシーズンを終えられるように、マネジャーとしてサポートしていきたい。2024年のチームスローガンである「輪~神宮を紫紺に~」を結実させる秋です。勝つために、チームが一つの輪になって戦います。 遠山 立教のチームスローガンは「結束」。部員だけでなく、野球部を応援してくださる方々とともに一体となるという意味が込められています。立教は明治さんと違って、優勝経験がありませんので、(2017年春以来の)7年ぶりのリーグ制覇を我々4年生の代が達成して、野球部OB・OG、大学関係者、いつも応援してくださる方々に喜んでいただけるよう、チームを支えていきたいです。昨年11月の新チームからもう一度、応援していただける野球部になるため、野球以前の寮生活、学校生活から一つひとつ、活動を見直してきました。当たり前のことを、当たり前にする。来年以降も立教大学野球部は続きますので、私たち4年生が、3年生以下の後輩たちに何かを残していきたい。学生野球の集大成として「今年の立教、良かったな!!」と思われるチームで終わりたいです。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール