ビットフライヤーが「暗号資産でアジア・ナンバーワン」を宣言、7月に買収した「FTXジャパン」を復権の布石に
「グローバル・ナンバーワンはちょっと難しいかもしれないが、アジア・ナンバーワンを目指してがんばっていきたい」 【図表】停滞する国内の暗号資産取引額、かつての暗号資産ブームの面影はない 暗号資産(仮想通貨)交換所のビットフライヤーが8月27日に都内で開いた創業10周年パーティー。その場で共同創業者の1人である加納裕三社長が口にしたのは、世界市場での復権に向けた宣言だった。 ビットフライヤーは国内トップ級の交換所で、顧客預かり資産の額は9000億円超と群を抜く。ただ2017年の「仮想通貨バブル」の頃は取引量で交換所世界1位だったが、現在は各国のライバルに大きく水をあけられている。
再挑戦に向けた布石が、今年7月に買収したFTXジャパンだ。2022年に破綻したアメリカFTXの日本法人で、アメリカの裁判所の資料によると取得価格は45億円。ビットフライヤー傘下で、従来の交換所から暗号資産カストディー(資産管理)を中核事業とする会社に衣替えする。社名も「保管」と「お金」の意味を込めた造語の「Custodiem」(カストディエム)に改めた。 ■買収の狙いはストック型ビジネス FTXジャパンの買収により、ビットフライヤーはストック型ビジネスの確立を目指す。現状、国内交換所の利益は、顧客の暗号資産の売買を仲介することで手数料を稼ぐフロー型のビジネス。暗号資産の相場が低迷すると赤字に陥ってしまう。その点、カストディーなら預かっている暗号資産の額に応じて報酬が発生するので、相場に左右されにくい。
加納社長の発言から判断すると、強固なセキュリティーを売りにしていくようだ。「自分のウォレットや他社に送りたいときはカストディーの中で移転する。ブロックチェーンを触らない形にしたい」と将来像を語った。 FTXジャパンの買収は、日本での暗号資産現物ETF(上場投資信託)の解禁を見据えた動きでもある。今年1月、アメリカでビットコイン現物ETFが承認された。ETFであれば、個別株と同じように売買できて、ビットコイン現物を自ら持たなくてもビットコインへの投資効果を得られる。