東部戦線でウクライナ軍守勢 ロシア軍戦線各所で圧力強化
アウディーイウカ、ウクライナ、5月10日 (AP) ― ウクライナ東部、ドネツク州東部戦線の夜明け。 押し寄せるロシア軍を食い止めるべく、最近東部戦線に配備されたウクライナ領土防衛隊「ハルティア旅団」の兵士が、下草を掻き分けて自動擲弾銃を設置、発射する。 同旅団は最近、アウディーイウカの西北西に位置するポクロフスク近郊の前線に移動したばかりだ。 戦前の人口6万人のポクロフスクから最前線までは、最近までは車で2時間かかったが、いまはその半分の時間で行かれる。それだけ最前線が近づいたということだ。 占領下のドネツク州の奥深くに進出したいロシア軍は、東部戦線の各所で圧力を強めている。 一方、守勢に立たされているウクライナ軍は、必死に防御線を強化しながら、激しく抵抗しているが、兵力、弾薬、戦闘車両のすべてでロシア軍に圧倒されている。 ウクライナのゼレンスキー大統領は5月9日、ウクライナ軍は東部戦線一帯で「非常に困難な局面」に立たされており、ロシア軍の激しい攻撃を食い止めていると述べた。 最近配備されたばかりの旅団兵士の話では、ロシア軍は通常夜明け前にウクライナ軍陣地を砲撃、その後小規模な歩兵部隊を波状的に送り込んで、素早く掘り進んで足場を確保しようとするという。 ウクライナ情報部の見るところでは、ロシア軍はアウディーイウカの北にあるオチェレティネを押さえて、ポクロフスクとコンスタンチノウカを結ぶ道路を確保することで、ウクライナ軍の前線拠点を結ぶ通信を遮断できると考えているようだという。 ウクライナ陸軍総司令官が戦況の悪化を警告した通り、2月末のアウディーイウカの陥落後、ロシア軍はドネツク州の複数の村落を占領した。 ウクライナ軍参謀本部によれば、オチェレティネへの進出を目指すロシア軍は9日の時点で、過去24時間に45回の地上攻撃を敢行したという。 また、英国防省によると、3月から4月にかけて東部戦線でのロシア軍の攻撃は、それ以前に比べ17%増えているという。 それにもかかわらず、ロシア軍の前進は僅かであり、多大な損失を被ったと見られている。 (日本語翻訳・編集 アフロ)