中国共産党「3中総会」、大型景気対策の期待薄-何が見込まれるのか
モルガン・スタンレーの邢自強エコノミストらは6月26日のリポートで、「3中総会はサプライチェーン自立と技術革新を優先するというここ数年で形成された経済の枠組みを維持する公算が大きい」と予想している。
都市化と農村改革
中国では総人口の約66%しか都市に住んでおらず、多くの先進国での80%以上を大きく下回っている。つまり、都市化が経済成長の重要な原動力であることに変わりはなく、政府はその過程で発生するさまざまな問題を解決する必要がある。
習総書記が「共同富裕」(共に豊かになる)運動を推進する中で、農民による都市部への出稼ぎが大きく増えたことで、社会的セーフティーネットと公共サービスを拡大する必要性が強まった。
そのためには、全世帯を登録し、居住地や就労地、就学地、給付金請求地を決定する戸籍制度「戸口」に関連する制限をさらに緩和する必要がある。
農村部の土地改革は加速する見通しだ。JPモルガンはリポートで、農村部の家屋を売買できるようにすれば、公共住宅や社会的なセーフティーネットを整備する資金を確保し、土地改革に伴う評価額上昇から得る収入を一般世帯と地方政府が分け合うことができると分析している。
これらの措置は、資源配分において市場に重要な役割を担わせるという当局の目標に沿っており、こうした施策が成功すれば、消費者の購買力が徐々に高まり、経済のリバランスにつながる可能性もある。
財政・税制の見直し
中国の地方政府は何十年もの間、経済成長を刺激するインフラ支出の大半を担ってきた。だが、不動産不況によって地方の債務が膨らみ、それがさらに悪化したため、限界に達している可能性がある。
エコノミストたちは中央政府に対し、成長を促進するためにより多く支出し、より持続可能な収入の流れを地方当局にもたらすようにするため税制を見直すよう求めている。
地方当局の収入源を拡大する消費税の見直しや、中国最大の税収源である付加価値税のさらなる改革を期待する声もある。