大迫傑がSNSで訴えた問題は正論か? 日本陸連が示すべき道とは?
大会要項から考えると、「現時点では推薦できませんが、申し込み期限を迎える5月7日になれば、推薦できる可能性はあると思います」という回答が正解のはずだ。 「大迫くんが日本選手権でいい走りをするとそれに負けた選手のランキングが下がり、不平不満が出るから」という理由は、強化担当者が心のなかで思うのは自由だが、言葉に出してはいけない。 「陸連批判」という報道もあるが、これは大迫の言い分が正しい。正論である。 日本選手権の1万mは5月19日に行われる。5月7日まで「ウエイティング」となると、準備をするのは難しい。しかし、そこにエントリーする・しないは選手の判断だ。しかも、ウエイティングは、ダイヤモンドリーグなど出場選手が限定されるメジャー大会ではよくあること。今回の場合、大会要項に則り、システマチックに対応するのが筋だろう。でないと、様々な軋轢を生んでしまう恐れがある。 大迫は、推薦枠について「なぜこの様な項目を入れたのか、おそらく強化委員所属チームのお気に入りの選手を出場させたいから」として、「以前から強化委員所属チームの選手が陸連合宿に優先参加出来たり、陸連計画の遠征に参加出来たりと色々ありましたが、そろそろ陸連を私物化するのはやめた方がいいと思う」とも指摘している。 さらに「こういうツイートをする事は、僕自身にも余計なプレッシャーをかけるし、リスクがある事を理解してほしい。だけど声を上げていかないと、ずっと変わらない」と覚悟を持って、日本陸連に対して、改善要求をしているのだ。 複数のメディアによると、その後、尾縣貢専務理事が都内で取材に応じて、「(要項の)伝え方に問題があった。そこは申し訳なかった」と謝罪。そして、「強化委員会推薦をやめてしまうとか、世界選手権メダリストなどの文言を入れるか。(強化部に)見直しについて、検討をしてもらいたいと思います」と改善する方向であることを口にしたという。 筆者も世界大会の代表選考など、日本陸連のジャッジには、おかしいぞ? と感じたことが何度もあった。大迫が指摘している通り、強化担当者が所属するチームの選手が“有利”と思わざるを得ないことがあるのだ。