創業55年・地元に愛され続けた尼崎の老舗ケーキ店 年明けに閉店へ…順調だったのに廃業のワケは「後継者がいない」惜しまれながら店主が抱く最後の日への思い
廃業のワケは「後継者がいない」「高額の設備更新」
店は地元に愛され続けた“町のケーキ屋さん”。売り上げも大きく減っているわけではありません。それではなぜ閉店してしまうのでしょうか? (濵田さん)「後継者がいないっていうこと。長年、働いている子がもしいるとすれば、その子に、やってみるかということは言えたと思うんです。そういう状態でもなかったので。私には子ども2人いますけど、2人ともケーキ屋をやるつもりもないので。多分親2人がいつもせかせか働いている姿を見ているので、やる方には傾かなかったのだと思います。休みも少ないし、他の家のお父さんお母さん、週2回休んでどこどこに連れて行ってもらったって、そういうのを体験してきているから、後を継いで同じことをやると思うと、なかなかそういう踏ん切りはつかないと思います」 さらに、冷蔵庫などが老朽化し数年以内に買い替える必要がありました。そのためには多額の費用が見込まれましたが、濵田さん自身、60歳を目前に控える中、いつまで営業できるか不安になり、廃業を決めたといいます。 (濵田さん)「一つには、ショーケースがあるじゃないですか。ショーケースが壊れたらやめようと思っていたんですけど、それが壊れる前に他の物がどんどん壊れだして、壊れたものを全部入れ替えたとき、ショーケースが壊れてもやめられへんとなって、早めに踏ん切りをつけたというか。壊れたってもうあかんねんと、業者さんも古いから直せないと言われて、やっぱり正解やったなって。だましだましだまし使っていたものがそうなっていくので。古いから入れ替えていけばよかったんですけど、愛着がある機械とかって壊れてどうしようもなくなるまでやはり使い続けるんですよね。するとどういう結果になるかは身に沁みました」
客から相次ぐ「寂しい」の声「親の代からきていた」人も
ただ、地域の人たちにとっては「思い出の味」がまた1つ、なくなることになります。客からは閉店について惜しまれる声が聞かれました。 (客) 「ずっと長年ここ、園田駅にあって、ちょっと買いたいときにすごく助かっていたんですけど、残念ですね。お友達の家に行くちょっとした手土産を買おうと思ったので、そういう時にパッとよれる場所が近所にあったのがすごい助かっていたんですけど、それがなくなるとちょっと寂しい気持ちですね」 (客) 「いや~園田にケーキ屋さんがなくなる。たくさんあったんよ。もう本当にここしかない。元祖エトワールや。親の代から来ていて寂しいです。だからもう1回くらい多分買いに来ると思います」 (客) 「親の代からこちらでお誕生日の時とかケーキをいただいてまして。え、ショック~と思いました。母もよく愛用していたので、すごく慌てていました。ここのマドレーヌが1番好きで、何かあったら買ったり、去年退職したんですけど、会社のみんなに配るお菓子は全部ここで買った。そういう意味でも思い出がある」