アンパンマンの生みの親、やなせたかしさんの原点…緑豊かな高知で優しさに包まれる旅
高知の魅力は他にもたくさんあり、かつおのたたきなど土佐料理もその一つ。一年中、果物狩りができる南国市廿枝(はたえだ)の西島園芸団地では、甘くて美味のメロンやスイカを味わった。
童心にかえれる場所は「海洋堂SpaceFactoryなんこく」(南国市大そね甲)。フィギュアメーカー「海洋堂」の製作工程の見学や色付け・ジオラマづくりが体験できる。
手のひらサイズの白いティラノサウルスの色付けに挑戦。体は肌色に近い茶色だろうと、黄色や白色の絵の具を混ぜ四苦八苦して色を作る。「いい色合いですね」という職員のお世辞(?)に気を良くしながら、何とか完成させた。
帰路は、奈半利(なはり)駅(奈半利町乙)から高知駅まで観光列車「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり『雄飛の抄』」を使った。乗り込んだ2号車「SORAFUNE」のデザインは、宇宙空間までつながる未来への「夢」がコンセプト。食事をとりながら、窓から太平洋の絶景を楽しんだ。
この間、考えていたのは、なぜアンパンマンが長く子供に愛されているか。いろいろ説はあるが、顔の一部を差し出し、おなかをすかせた人を助ける自己犠牲の精神が子供の心を打つのだろう。
〝究極の愛〟の物語を創ったやなせさんの偉大さが、夕日が海に沈む車窓の光景の壮大さとオーバーラップしてみえた。(山口暢彦)
■南国市と香美市 南国市は人口約4万6千人(10月末現在)、高知県中部にある県下第2の都市。高知龍馬空港は交通の要でもある。やなせたかしさんは小学2年から約10年間、南国市内の伯父の自宅兼診療所で暮らした。やなせさんの両親の出身地である香美市は南国市の東に隣接し、総面積の約9割を森林が占める。