大阪桐蔭・平嶋桂知が1学年下の怪物右腕に刺激 「これぞエースの投球」でドラフト候補に急上昇
試合後、平嶋に森のボールがどう見えたかと尋ねると、「ピストルの弾丸みたいなボールです」と表現した。 1学年下に怪物クラスの大物がいれば、内心穏やかではいられなかったはずだ。それでも、平嶋は自分の可能性を信じて努力を重ねてきた。 「秋は自分が情けないピッチングをしてしまって、森が出てきたと思うので。自分がもう1回、背番号1番をつけて、絶対的なエースとして戦う。自分が一番なんだという思いを持って、この冬はやってきました」 とくに課題にしていたのは、投球フォームの修正だ。昨秋までの平嶋は、「いい球を投げよう」と思えば思うほど、上体に力が入る悪癖があった。下半身を使って、8割程度の力感で投げる練習を繰り返し、ある投法にたどり着く。 センバツのマウンドに立った平嶋は、グラブを右腰のあたりにセットする変則的なセットポジションで始動していた。試合後の囲み取材でその点を指摘されると、平嶋はフォーム変更の意図をこのように語った。 「右足の地面の押し込みを意識したかったので、グラブが後ろにあるほうが感覚をつかみやすかったんです」 右足でマウンドを押し込む反動で「立ちやすくなった」と平嶋は語る。今まで以上にエネルギーを得られた結果、平嶋のストレートは段違いに球威を増していた。 「真っすぐはスピードも出ていましたし、自分のなかで強さも感じられたのでよかったです」 2年生ながら正捕手を務める増田も、平嶋の球威が増したことを認めている。 「単純にボールが速くなりましたね。そのうえで、真っすぐがスライドしたりシュートしたりすることがなくなりました。指のかかりがよくなっています」 【平嶋と森はまったく別物】 平嶋の最速154キロという数字は昨年6月の練習試合で計測したものだという。だが、増田は「今のほうがボールは速く感じます」と証言する。そして増田は、平嶋の投球スタイルが変わったことを強調する。 「秋は変化球でかわすピッチングだったのが、この春になって向かっていくピッチングになって、その姿勢がボールにもこもっていると感じます」