大阪桐蔭・平嶋桂知が1学年下の怪物右腕に刺激 「これぞエースの投球」でドラフト候補に急上昇
ストレートの球威が増したことで、130キロ台で鋭く変化するカットボールや、シュートしながら高速で落ちるツーシームなどの変化球も効力を増した。ここまでの実力を発揮できれば、もはや立派なドラフト候補だ。 北海戦で平嶋が7回を投げきったあと、大阪桐蔭は背番号10の南陽人(はると)、背番号11の中野大虎(だいと/2年)と継投して試合を締めくくった。 背番号14をつけた森はブルペンで投球練習をするに留まったが、本人に状態を尋ねると「全然問題ないです。早く投げたいですね」と不敵に笑った。今冬は体の土台づくりのため、走り込みを中心に下半身強化に努めてきたという。森がベールを脱いだその時、甲子園に衝撃が走る予感がする。 捕手の増田は、平嶋と森を「まったくの別物」ととらえているという。 「同じ150キロを超えるピッチャーでも球質も投球スタイルもまったく異なっていて、森は縦回転でキューッと伸びのあるボール。平嶋さんは勢いがあって、スピード感があるボールです」 タイプ的には、平嶋は本来なら短いイニングを勢いで押しきってしまったほうが、よさが生きるのかもしれない。そんな印象を伝えると、増田はうなずきながらこう答えた。 「もちろん、リリーフもいいんですけど、フォアボールで崩れたり大荒れしたりすることもないので、先発も十分にいけると思います」 平嶋桂知が絶対的な存在になり、ベンチには森陽樹という怪物が控える。大阪桐蔭が歴代最多タイとなる5回目のセンバツ制覇を成し遂げるための条件は、着々と整いつつある。
菊地高弘●文 text by kikuchi Takahiro