海を渡ったレスキュー隊員「日本の救助技術を持ち帰りたい」フィジーから大阪で訓練に励む 被災地の厳しい現実も学んだ2か月間に密着
災害大国とも言われる日本。その現場で培われた救助技術は世界でもトップクラスと言われています。こうした救助技術を海外のレスキュー隊員らに伝えるプロジェクトが行われています。災害救助の実践経験も豊富で、組織として西日本最大の大阪市消防局。国を背負い訓練に臨む海外からの隊員の2か月間に密着しました。 【画像を見る】大阪で訓練に励むフィジーの消防士・シモンズさん
南太平洋 フィジーから来た消防士
車に閉じ込められた人を助け出す訓練。参加するのは東南アジアやオセアニアなどの7つの国からやってきた9人のレスキュー隊員らです。 豪雨や地震などの自然災害が頻発する日本。実際の現場で磨かれた救助技術は、世界でもトップクラスとされています。国際協力を行うJICAは、こうした技術を開発途上国に伝えるプロジェクトを26年前から行っていて、これまでに60以上の国から約230人が参加しています。 【入校式の様子】 (シモンズ・ヴィニアナさん)「私はシモンズです。国はフィジーです」 シモンズ・ヴィニアナさんは南太平洋の国、フィジーの消防士で、14人を指揮するエリートです。シモンズさんはシングルマザーで9歳のひとり娘ミシェルさんを両親に預けてやってきました。 (シモンズ・ヴィニアナさん)「日本の技術を学んで国に持ち帰りたいです」
急速な発展を遂げるフィジー 高層ビルからの救助技術が課題
日本から飛行機で約9時間のフィジー。美しい海が印象的ですが、近年は高層マンションも多く建設されています。急速な都市化の一方で、高層ビルからの救助技術が追いついていないことが課題となっています。 (シモンズ・ヴィニアナさん)「私たちはどのように高層ビルに入って救助するかを学んでいません。なので、適切に救助するための技術を学びたいです」 【低所救助の様子】 「3、2、1 降下」「リリース、リリース」 この日は、シモンズさんが課題としていた高層ビルに取り残された人を、上の階から救助する訓練。ロープとカラビナだけを使うシンプルな方法です。日本では機材がない状況でも安全に対応できるよう、これを徹底的に叩き込まれます。 (シモンズ・ヴィニアナさん)「カラビナロック!安全環よし」 (教官)「全部全部。ノーノーノー」 シモンズさん、要救助者を吊り上げるためのカラビナをつけるのに手間取ります。手順ひとつとってもフィジーとは違うようです。一か所でもかける場所を間違うとバランスが崩れ、落下の危険性が高まります。 (シモンズ・ヴィニアナさん)「フィジーではカラビナなどの安全装備に限りがあるので、全員が持っているわけではありません。国に戻ったら装備の充実を提案したいと思います」