海を渡ったレスキュー隊員「日本の救助技術を持ち帰りたい」フィジーから大阪で訓練に励む 被災地の厳しい現実も学んだ2か月間に密着
「きょうの授業はとても感情を揺さぶられました」
国のレスキュー活動をより良くする任務を託された隊員たち。2か月間の研修では技術の訓練だけでなく、隊員の心のケア方法や被災地の厳しい現実などについても学びます。 今年の元日に発生した能登半島地震。大阪市消防は発生の翌日から現地で救助活動を行い、所属する大隊が13人を救出しました。 【能登半島地震での救助の様子】 (救助隊員)「分かりますか。頑張ったね。大丈夫やからね」 途上国の隊員らの研修では、地震で倒壊した建物から女性を救出した時の体験が語られました。 (能登半島地震で救助にあたった隊員)「この女性は亡くなっているが、なんとか建物の外に出してあげられました。旦那さんが奥さんに言った『ごめんな』という言葉が印象的で、救助活動に時間がかかってしまったこと、やれることをやるが、もどかしい気持ちです。改めて、災害の恐ろしさと悔しさを痛感した一日となってしまいました」 (シモンズ・ヴィニアナさん)「きょうの授業はとても感情を揺さぶられました。救助した隊員は精神的にも肉体的にも負担が大きかった」
日本の救助隊は「自分たちも必ず帰ってくる」
研修日程の中盤。地震を想定した訓練の日です。余震などによる二次被害の危険性もあるため、短時間での作業が求められる難しい任務です。 手順はまず、先遣隊が要救助者がいる場所までのルートや障害物などを確認し、情報を仲間の隊員らに共有します。そして必要な機材を持った救助隊が、2人一組で入って要救助者を助け出します。 今回、シモンズさんは先遣隊の役割を担います。メジャーなどを使って中の状況を正確に把握します。 (シモンズ・ヴィニアナさん)「要救助者はここにいます。金網があります。切らないといけない必要があります」 救出を担当する隊員2人がシモンズさんの情報をもとに中に入ります。 「要救助者がいたぞ!」 「OK」 と、その時。外で待機する隊員が、笛を吹き余震を知らせます。 「必ず戻りますからね」 安全確保のため、一度外に出ます。実際に、能登半島地震でも、救助活動中に何度も余震が襲いました。こうした状況のなか救助を行う必要があるのです。 (能登で救助にあたった隊員)「日本の救助隊は安全を担保した上で救助活動を行う。自分たちも必ず帰ってくる。けがせず家族のもとに帰ってくることを念頭に置いた活動をしています」