広島の新4番・小園海斗はなぜ、着実にレベルアップできたのか
オフに行われたプレミア12でセカンドとして出場し、スーパーラウンド初戦となるアメリカ戦で大活躍を見せた、広島・小園海斗がスターとなる前夜に迫った。 【写真で振り返る】プロ野球選手たちのスターとなる前夜
チームの中心になりつつある広島の新4番
以前のコラムでは2024年ブレイクしてゴールデングラブ賞を受賞した矢野雅哉(広島)を取り上げたが、同じ広島でもう1人、今後チームの中心として期待されているのが小園海斗だ。 プロ入り6年目の2024年シーズンは初めて全143試合に出場し、いずれもキャリアハイとなる151安打、61打点、13盗塁をマークし、4番を任される試合も多かった。 オフに行われたプレミア12でもセカンドとして出場。スーパーラウンド初戦となるアメリカ戦でも2本のホームランを放つ大活躍を見せ、侍ジャパン定着に向けて強烈にアピールしている。
1年生とは思えない打者としての才能
そんな小園は兵庫県の出身で、中学時代は中学硬式野球の名門・枚方ボーイズで藤原恭大(現・ロッテ)などとともに活躍。当時から評判の選手で多くの高校から誘いがあったというが、地元の報徳学園に進んでいる。 高校でも入学当初からショートのレギュラーに定着。初めてプレーを見たのは2016年7月14日に行われた夏の兵庫大会、対須磨翔風戦だった。 相手チームのエースは当時3年生でドラフト候補だった才木浩人(現・阪神)だったということもあって、この試合のスタンドには多くのスカウト陣がつめかけていた。そこで1年生の小園は驚きのプレーを見せることとなる。 第1打席こそ三振に打ち取られたものの(振り逃げで出塁)、第2打席、第3打席と連続でセンター前ヒットを放ち出塁。 140キロを超えるストレートにもまったく振り負けることなく、完璧にミートしていたことを今でもよく覚えており、当時のノートにも以下のようなメモが残っている。 「少しバットを揺らしながらタイミングをとるのは気になるが、振り出しの鋭さはとても1年生とは思えない。ただ当てるだけでなくしっかり振り切ってインパクトも強く、才木のストレートに力負けしない。 打球の速さもチームのなかでも目立つレベル。フルスイングしてからすぐに走り出し、トップスピードになる脚力も十分で、足を緩めることなく全力疾走を怠らない姿勢も素晴らしい。 ショートの守備も捕球、送球の形が良く、プレーに落ち着きがある」 第2打席で放ったセンター前ヒットの一塁到達タイムは4.05秒を記録。これは内野ゴロで駆け抜けたとしても俊足というレベルであり、いかに足を緩めずに次の塁を狙っていたかがよくわかるだろう。 このヒットを足掛かりにチームは先制点を奪い、才木を攻略して5対1で勝利をおさめている。