「トランプは神に選ばれし救世主!」「テキサスを独立国家に!」トランプを大統領にしたヤバい奴ら
イーロン・マスクの狙い
こうした熱狂的な支持者たちを利用してトランプを大統領の座に押し上げ、自らの権益を広げようとしている人々もいる。シリコンバレーで先端事業に取り組む実業家たち、いわゆるペイパルマフィアだ。 特に注目を集めたのがスペースXやテスラの創業者であるイーロン・マスク氏である。自らが運営する「X」(旧ツイッター)でトランプへの応援メッセージを投稿しまくった挙げ句、政治団体を通じて毎日有権者1人に100万ドル(約1億5000万円)を贈る「懸賞」を実施して波紋を呼んだ。 また「ペイパルマフィアのドン」として知られる、米決済サービス大手ペイパル共同創業者のピーター・ティール氏が、副大統領候補のJ・D・バンスの後ろ盾であることは良く知られている。彼らはなぜトランプを支持したのか。在米ジャーナリストの岩田太郎氏が説明する。 「多額の献金をして見返りを求めているのです。スペースXを経営するマスク氏は、航空宇宙の分野でNASAや国防省からの仕事を得たい。またティール氏は、創設した情報解析企業のパランティアが米軍と取引をしており、そのビジネスをより強化していく狙いがあったのでしょう」 トランプはさっそく、マスク氏を「政府効率化省」のトップに任命すると発表した。連邦政府の歳出削減をマスク氏に任せようというのだ。政府関係者は今頃、肝を冷やしているに違いない。 こうした支持者たちの力でトランプは勝利し、ひとまず内戦という最悪の事態は免れた。だが、まだ安心はできない。いくらトランプといえども、大統領になれば好き勝手に振る舞うことはできないからだ。三権分立の下で政策を実現するには、議会の承認が必要になるし、司法が待ったをかけることもある。 結果として第一次政権のときのように意外とマトモな政策に着地する可能性は大いにあるのだ。しかし、過激な支持者たちはそれで納得するだろうか……。 トランプは大統領に返り咲くため、さんざん支持者を煽り、実現不可能なことまで約束してきた。トランプはすでに「パンドラの箱」を開けてしまったのかもしれない。 「週刊現代」2024年11月16日・11月23日合併号より
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