齊藤工×竹林亮 劇場公開のみの映画「大きな家」 「普通」が重なり合って、自分の物語になっていく感覚を感じてほしい
――カメラはどのくらいの大きさだった 竹林 カメラは結構大きくて、映画用のカメラを使っていて、すごく綺麗に撮れてデータもめちゃくちゃ重いんですけど、マイクも、大きいマイクを持っていたので、子どもたちからすると、相当、違和感があったと思います。 竹林 撮影が進むにつれて、だんだん機材の操作なども覚えて、録画のレックボタンを(ふざけて)消してきたりとか、知らない間に自分たちで撮影して、素材を撮ってくれたりとか、みんなすごい機材を使えるようになっていたのが面白かったです。 齊藤 職業体験的なことも、結果的に振り返るとあって、「映像の世界」に興味を持った子どもたちも何人かいました。実際にその先の進路とかを監督に相談したりする子とか、監督に自分で書いた脚本を読んでもらったりする子とかもいました。 齊藤 今回、映画の撮影部隊といっても4人からMAXでも6人なんですけど、子どもたちにとっては「働く大人たちと接していた期間」でもあって、カメラの前に立つだけじゃなくて、「映像を作る職業」って、どういうものなんだろう?いうことを考えるきっかけになって、彼らの未来に、実は既にすごく影響がある作品なのかな?というふうにも思っています。 ――齊藤さんは、一緒に撮影する部隊の中に入られていたんですか 齊藤 施設にはテレビもあるので、ちょっと職業的に(俳優としての)僕は作品にとって「ノイズ」になりかねないという事は当初から思っていたので、僕は主に施設の職員の方たち、大人たちと、どういう作品にしていくか、いつぐらいにどういう形で世に出すか、どういう部分をケアしながら、アウトプットしていくか、というような事を説明に行く、そういう役割でした。 ――こういった施設を撮影するのは、ハードルが高い上に、撮影される子どもたちへの向き合い方も難しいと思いますが、どのように撮影を進めたのでしょうか 竹林 子ども自身の意思を第一に、インタビューさせてくれる子どもたちから、話を聞いていきました。最初は、撮影に興味を持っている子どもが、どんどん近づいてきてくれた…という感じです。 竹林 撮影していると、子どもたちも、最終的にどういう映画になるのか、みんな気になっていて、「何とか、みんなにとって良い影響があるように…ということだけを、僕たちも願って作っているよ」という事を伝えながら、「何のために撮っているのか」という事を、必ず共有しながら、それを必ず守りながら、子どもたちとコミュニケーションしていました。