2代目BMW X5 xDrive35iはマイナーチェンジで大幅な効率化に成功【10年ひと昔の新車】
2010年5月、BMWジャパンは2007年にデビューした2代目X5のマイナーチェンジを発表した。最大の変更点はパワートレーンの効率化。3L直6ユニットはターボ化、V8ユニットは4.8L自然吸気から4.4Lツインターボに変更され、トランスミッションは6速ATから8速ATになった。Motor Magazine誌では、上陸間もなく、3L直6ターボユニットを搭載するX5 xDrive35iの試乗テストを行っている。今回はその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年11月号より) 【写真はこちら】フォグランプ位置やバンパーのデザインなどが変わっているが、じっくり比べなければ新旧を見分けことは難しい。(全5枚)
2トンを超える車重を感じさせないワクワクさせる走り
BMWに乗るといつも100mも走らないうちに「どうしてBMWのクルマってどれもこんなにワクワクさせる走りなんだろう」と感心してしまう。それは1シリーズでも3シリーズでも5シリーズでも7シリーズでも感じることだ。さらに4気筒エンジンでも6気筒でも8気筒でもそう。つまり、どのモデルに乗ってもBMWは、つまらないと思うことがない。今回、BMWの新しいパワーユニット“ツインパワーターボ”エンジンを与えられたX5に試乗したときも、また同様だった。 試乗モデルは、X5 xDrive35i。この35iが積む3L直噴ターボは、135i、335i、535iにも積まれ、BMWエンジンのなかで直6のトップエンドエンジンである。が、しかしX5は2トンを超えるSAVだ。いくらなんでもちょっとパワー不足なんじゃないかな……なんて勝手に思いこんでいた私が浅はかでした。 スタートボタンを押して走りだし、駐車場を出たか出ないかのうちにまた感心してしまい、「こりゃ、BMWがX5に積んだのも至極当然だな」なんてひとりごとまでつぶやいてしまった。 改良されたX5は、エクステリアもインテリアも大きく変わったとは言い難い。新旧の2台を並べて見比べてもすぐに違いを見つけることは難しいだろう。じっくりと見てもフォグランプの位置やバンパーのデザイン変更とヘッドライトのスモールライトリングとリアコンビネーションライトにLEDが採用されたことなどで判別できるくらいだ。 そうした意味では、従来モデルのオーナーも新型との差(違い)をそれほど気にすることなく乗ることができるが、一度、ツインパワーターボエンジンを積んだX5に乗ったら、その違いには驚くはず。それほど、N54B30A型エンジンは、感動すら覚えるパフォーマンスをみせてくれる。 お世辞にもコンパクトとは表現できないX5のボディは、動き出すまではその大きさを意識してしまう。しかしそんな思いも、いったん走りだすとたちまち消えてしまう。大きなボディをキビキビと走らせ、軽快という言葉さえ使いたくなるようなフットワークを見せてくれるからなのだ。そこにはとてもじゃないが退屈だなんてひとときも感じることはない。そう、“退屈しない走り”こそBMWの真骨頂だと思う。それが新しいX5にも全身で表現されているのだ。 アクセルペダルを踏んだ量だけ瞬時にドライバーに伝わる動きは、低回転であってもダイレクトなもの。それは高回転まで回しても途切れることなく、スムーズといった表現が相応しい。ドライバーが意図した動きをクルマがするダイレクトな操作性はまさに意のままに操るといった感覚だ。