Plastic Tree 有村竜太朗×MUCC 逹瑯 対談! 出会いと今のロックシーン、そしてV系が放つ希望を語り合う
スタンスの異なるソロ活動の印象と『有村竜逹瑯』の始まり
■スタンスの異なるソロ活動の印象と『有村竜逹瑯』の始まり ――おふたりともバンドもソロも、またほかにもいろいろやっていらして、私から見ればどちらもお忙しいかと。 逹瑯:竜太朗さんもいろいろ忙しそうですよね。僕は波があるんですよ。11月はマジでヤバかったですね。MUCCでワンマンが6本、12月1日まであって、ツーマン3本。MUCCの歌録りが1曲、ソロのレコーディング6曲。作詞も含めてレコーディングして。MUCCのMV撮影、アー写撮影とかもしてたんで、全然遊んでないですよ。ここからまたMUCCのレコーディングです。ライブは1本なんですけど。 有村:聞くとゾッとしますね。いつも話を聞くと「(忙しいのは)今」みたいな感じで。ヤバいね、自分なら無理(笑)。 ――MUCCのデジタルEP『invader ep』が12月4日にデジタルリリース、年が明けて1月8日には逹瑯さんのソロミニアルバム『MONOCHROME』がCDリリースされますが、これはあえて並行して制作/リリースしようと? 逹瑯:いや、たまたまですね。ソロで動けるタイミングもあるので、リリースとかライブは被らないようにしているんですけど、どっちかが何かの活動している時にどっちかの制作、みたいになっちゃいますよね。 ――おふたりとも「ソロはバンドとは違うものを表現したい」という気持ちが根底にあると思いますが、竜太朗さんが最初のソロ作品『個人作品集1996-2013「デも/demo」』をお出しになった時に、インタビューで「バンドで使わなかった曲をやりたい」とおっしゃっていたんですが、今はどんなお気持ちでソロをやってらっしゃるんでしょう。 有村:初めはわりと初期衝動というか、そういうところがあったと思うんですけど、今はどっちかというともうちょっとフランクに色々考えたりします。「こういうことしたいな」とか「新しいことしたいな」というのはあるんですけど、新しい曲でも普通にソロでやってるし。逆にソロ用に書いたけどプラに持ってったというのもあるし。だから最初の、プラでやらなかった曲を形にしたいというのは、今はあんまりないかもしれないですね。僕の場合はソロもメンバーは基本固定だったりするので、その人たちとやったら良さそうだなと思うのは、そっちに持ってったりという感じですね。 ――逹瑯さんは、バンド全体をブラッシュアップするためにメンバー個々を高めたいという想いがソロを始める動機だったそうですね。 逹瑯:最初は、ドラムが抜けてバンドが一枚岩という感じでもなくなったので、一人ひとりのパワーアップを図っていくしかないなと思って、一人ひとりの個性を伸ばしていこうと始めたんですけど。そのなかで、どういう表現をしていこうかなとか、どういうふうにバンドと分けていこうかといろいろ試行錯誤して。最近は曲のイメージ、「こういう曲をやりたいなあ」というのを、一緒に曲を作ってる足立(房文)にイメージを投げて、足立から「こういう曲、どうですか?」と上がってきた曲に、やいのやいの口出したりイジったりしながら、曲自体は足立主導で作ってもらって、そこに着色していくというやり方が、ソロでしか生まれ得ない曲になっていくので、それが面白くて。いちばん最新のアルバムは、そういう感じで作ってますね。 ――作曲でクレジットされている足立房文さんとは、どんな存在ですか? 逹瑯:マネージャー兼制作仲間。ステージにも立ちます。 ――逹瑯さんの右腕的な存在? 逹瑯:僕の右腕左腕右足左足なんです(笑)。 ――新作は大変バラエティに富んだ曲が入っていて、面白く聴かせていただきました。バンドとは全然違う印象の作品ですね。 逹瑯:違うことをやりたいというのでもないんですけど、MUCCでは出てこなかった曲というか。足立のメロディと曲も(MUCCとは)全然違うので、それを楽しんでいこうかな、みたいな感じですね。 ――竜太朗さんは、バンドとソロの違いはどのようにとらえてらっしゃいますか。 有村:バンドとの差別化を考えてというよりも、僕はバンドでは4分の1という感じなので。ソロは基本的に自分で全部やらなきゃいけない。もちろんみんなの助けを借りてですけど。最初の段階としては、曲を書く、コンセプトを考えるとか、全部自分主導でやってたので、どうしても個人がしたいこと、できることに寄ってしまうという感じでしたね。自分のしたいことをしていくだけだったから、自分では意識してなかったと思うんですけど、バンドとの差別化は自ずとできていたんじゃないかなあ。そういうのが前回のアルバムまでだったかなと思っていて。僕もいろんな曲作りにチャレンジしたいなと思ってはいて、ソロでこないだ逹瑯くんと対バンしていろいろ思うところもあったりして。まあ、音楽活動は日々変化していけばいいのかなと思うので。 ――名言ありがとうございます。今お話に出たおふたりのコラボイベント『有村竜逹瑯』が9月28日、29日に東京キネマ倶楽部で行われましたが、それぞれのソロ活動があって生まれたものですよね。お互いのソロ作品をどのように感じられていましたか。 逹瑯:プラよりも、竜太朗さんという個人の世界観が強いですよね。自分のことは客観的に見れないので、やってる音楽のジャンルは違うにしても、(自分のソロ活動も)そういう見え方ができたらいいなと思いました。 有村:僕はMUCCを昔からよく知ってるし、ライブもたくさん観てるし、逹瑯くんもよく知ってるし。やっぱり逹瑯くんは存在感の大きいボーカリストなんで、MUCCっぽく見えたりもするんだろうなと思いながら観たんだけど、MUCCとは全然違う。同じような言い方になっちゃうんだけど、逹瑯くんワールドというか。歌の人が引っ張り上げる世界観という感じもあったし、逹瑯くんの人間性というのも付き合いが長いぶんよく知っているつもりなので、そういう人間性がよく出た楽曲だし、ステージングだし、と思いました。あと、いろんな曲が多彩にあって、いろんなタイプの曲を聴ける。MUCCもいろいろなタイプの曲があるんですけど、世界観がひとつしっかりしてるので。音楽に対して自由だなという印象を受けましたね。 ――実際に共演されて発見されたことが多かったんですね。 有村:ソロの楽曲は、うちのギター(ナカヤマアキラ)が参加しているのもあり、すごく興味もあったので聴かせてもらっていて。楽曲ではいろんなタイプの曲を書いていて「多彩だな」と思ったんだけど、ライブを観ると歌を中心に成り立ってる世界だったので、より強く感じましたね。 ――2マンライブを一緒にやろうというアイデアはどんなふうに生まれたんでしょう。 有村:僕は前からソロをやっていて、逹瑯くんが「ソロをするんですよね」ってなった時に「一緒にやろうよね」って、どっちからともなく言ってたような。 逹瑯:竜太朗さんがソロをやってて、俺も(ソロを)始めた時に「いつか竜太朗さんとツーマンしたいな」と勝手に思っていて。「竜太朗さんと2マンするんだったらイベント名は『有村竜逹瑯』だな」って、勝手にあちこち言いふらしてて(笑)。勝手に言いふらして地盤を固めながら。 有村:狡猾だな(笑)。 逹瑯:実際にタイミングが合って「できますね!」ってなった時に、「タイトルは『有村竜逹瑯』でいいんじゃない?」みたいになって、しめしめって感じ(笑)。 ――わかりやすく面白い、良いネーミングですよね。おふたりでやるからと、いろいろアイデアも出たようで。話題になった昔の学生さん風衣装とか。 逹瑯:そうですね。せっかくだから一緒にグッズを作ろうと、グッズ用に撮影しますかっていうところから、いろいろ固まっていきました。衣装をどうしようかって時に、竜太朗さんから案をもらったり、いろんなアイデアを出し合って。出し合ったアイデアがいい方向にブラッシュアップされていったかな。 有村:普段から連絡取ったりするから、アイデア出しとかもフランクになんでも話せるというか。結構いろんなこと――「予算大丈夫ですかね」とか。逹瑯くんと一緒にやることが楽しかったですね。 逹瑯:やってよかったですよねえ。「また定期的にやりましょう」みたいな感じになってるので。