【グローバルフォーカス】北朝鮮軍が「捨て駒」経験する時、韓国軍は「科学化戦闘訓練」に集中を(2)
◆現代戦は砲兵・ミサイル・航空火力の結合 実戦の経験がない北朝鮮軍は今回の派兵を通じて現代戦の実戦経験を持つことになり、その経験の銃口が時差を置いて韓国側を狙うだろう。戦争が長期化すれば北朝鮮軍が引き続き交代し、実戦経験が拡大する。それだけ大韓民国に対する脅威が増大するということだ。 しかし歩兵中心の派兵北朝鮮軍の戦闘経験には限界も見える。北朝鮮軍は歩兵を中心に派兵し、ロシアの軍服を着てロシア軍に所属し、ロシア軍として戦う異常な派兵だ。ベトナム戦争に派兵された猛虎部隊、イラク戦争のザイトゥーン部隊のように大韓民国の国旗の下で自国の軍服を着て単位部隊が参戦した我々の派兵とは根本的に異なる。北朝鮮の派兵は外貨稼ぎをしながら戦争の責任は回避しようとする方法だ。現代戦は一般歩兵の役割よりも監視手段と打撃手段が統合された火力の役割がさらに重要だ。 現代戦の戦闘遂行過程を見てみよう。まず情報収集要員(捜索隊と特攻隊)や監視用ドローンが標的を識別すれば、リアルタイムでC4I体系(軍指揮統制システム)に標的が伝播する。続いて砲兵・ミサイル・航空火力が標的を打撃し、打撃現場の上空にあるドローンで被害を評価した後、標的を再打撃する。 ◆血を流さず実戦経験獲得が可能 韓国軍の自慢の陸軍「科学化訓練(KCTC)」の成果を見ると、多くの戦闘損失は歩兵の小銃でなくドローン・砲兵・航空などの統合火力によって発生した。戦闘現場の歩兵は火力と統合された状況で能力を発揮するものであり、歩兵単独では敵の火力の犠牲になってしまう。ウクライナ戦争で北朝鮮軍は、単位部隊が指揮体系を維持して統合された戦闘力を発揮する経験を取得するのではなく、ロシア軍の数を増やす傭兵として捨て駒の経験で終わることも考えられる。 もちろん北朝鮮軍が傭兵レベルの戦闘経験だけをするとしても、韓国軍は警戒心と危機意識を持って備えなければいけない。実戦のような訓練で実戦の経験に準ずる戦闘能力を確保することが求められる。そのためには今より実弾射撃訓練や実動演習を拡大する必要がある。 実弾射撃訓練と実動演習は部隊能力の総和を通じて行われる。例えば砲兵部隊の実動および実弾射撃訓練は装備起動、整備、通信、砲術操作、標的獲得および監視、測地、弾薬運搬および操作、軍需支援、C4I体系などすべての部隊機能が統合的に発揮されることを前提とする。これは砲兵・戦車など装備中心の部隊だけでなく兵力中心の歩兵部隊でも同じだ。歩兵部隊も長距離直射火気と曲射火器、装甲車、ドローンなどで武装するからだ。 科学化訓練は血を流さずに実戦経験を獲得できる先端訓練体系だ。陸軍の師団別に科学化訓練装備のMILES装備が普及している。筆者が師団長在任当時、MILES訓練をした部隊とそうではない部隊を交戦をさせたところ、訓練をした部隊が相手を早期にせん滅して一方的に勝利することを確認した。これが科学化訓練の効果だ。 山岳地形に慣れた北朝鮮軍の歩兵が広く開かれたクルスク平原で捨て駒の戦闘経験を得る時、韓国軍はMILES訓練でドローン・砲兵・航空などが網羅された統合戦闘力中心の先端科学化戦闘経験で武装しなければいけない。世界2位というロシアの軍事力に対抗してウクライナ軍が劣悪な環境の中でも善戦するのは徹底的な訓練のおかげであることを忘れてはいけない。 アン・ヨンホ/グローバル国防研究フォーラム会長/元合同参謀本部作戦本部長