価格差11万円の「CT125ハンターカブ」と「クロスカブ110」は何が違う? 最新型スペック比較&ざっくりインプレ
アドベンチャー色の強いハンターカブと、舗装路中心のオールラウンダー・クロスカブ110
エンジンに関しては、CT125ハンターカブ、クロスカブ110ともに最新排出ガス規制に適合した新型に切り替わっている。スーパーカブC125などと共通のストローク63.1mmを持つロングストローク設定の空冷単気筒で、排気量は124cc/109ccの排気量の違いはシリンダー径によるもの。フィーリングは似通っているが、意外な元気の良さを見せるのはクロスカブ110だ。 ハンターカブのエンジンは旧エンジンの弾け感がやや薄まり、車体剛性は相変わらず高いもののトコトコ走りも得意。最高出力はクロスカブ110よりも1.1ps高い。 一方、クロスカブ110はわずかながら振動が少なく、フルルル~という感じで回転が上昇していく。旧型に比べるとやや燃調の薄さゆえかややドライな回転感覚だが、長めのサスストロークによって車体全体のリズム感がゆったりしているため、スーパーカブ110よりも牧歌的で、昔ながらのいわゆる“カブみ”は現行のカブ系でもっとも強く残っていると言っていい。 いずれも回して走ってもトコトコ走りでも気持ちいいわけだが、高回転まで使い切ろうとしたときの伸び感はクロスカブ110のほうが勝り、なんなら発進からヨーイドンで競争すると最高出力の違いが気にならない、ほぼ互角の加速を見せる。 ──CT125ハンターカブ(赤)とクロスカブ110(青)の大きさを比較してみると、かなり接近していることがわかる。クロスカブ110は新エンジンに切り替わった際、最低地上高が6mm上がって163mmになったものひそかなポイント。
高めの速度で路面のギャップを拾った際には、高い車体剛性でクリアしていく感じのハンターカブに対し、ソフトにいなすのがクロスカブ110。この剛と柔の対比は、さまざまなシチュエーションでそれぞれのキャラクターを際立たせるだろう。もう少し細かくいえば、スポークホイール自体に吸収性があり、しっかりしたサスペンションと車体の全体が調和して駆け抜けるハンターカブに対し、軽くシャープなキャストホイール+チューブレスタイヤの挙動を、長めのストロークで吸収するサスペンションの組み合わせでおおらかな感じを出しているクロスカブ110、といったところだろうか。 ちなみに、いずれも自動遠心クラッチの繋がりの際(キワ)がよくチューニングされていて、発進やギヤチェンジで“ちょうどいい”フィーリングになっている。 さて、この2車をコスパで比較した場合はどうか。しっかりした車体に各種装備も充実したハンターカブは47万3000円も妥当なセンだろう。一方のクロスカブ110は、周囲の価格が上がってきていることから、以前よりもお買い得感が強まっているかもしれない。意外なほどよく走るエンジンと、ハンターカブにはないチューブレスタイヤを装備するのもロングツーリング派にはありがたい。いずれも甲乙つけがたいので、どちらかを選ぶ際には自分の用途に合っているか、けっこう本気で比較したくなってしまう。 ──クロスカブ110と似た感じのCT125ハンターカブだが、シート下の燃料タンク部分が左右に膨らんでいて、シート後方に着座すると脚をまっすぐ下ろせない。また筆者の体格だと、走るのにちょうどいい位置に座るとケツに荷台のアシストグリップが微妙に当たる。 ──クロスカブ110は上半身が起きたアップライトなライディングポジションでステップ位置もやや高め。ユニットステアを採用しているため、ステアリングの操作はオブラートを1枚挟んだようなフィーリングだ。