『ぷよぷよ』『はぁって言うゲーム』の生みの親が語る“人生が変わるゲームのつくりかた”「ゲームの面白さはルールで決まる」
「ルールを守って遊ぶ」ことでゲームは楽しくなる
――本書はシリーズということもあって、すでにページ数は決まっています。しかし、米光さんは予定されていた3倍くらいの文量を書いたと聞きました。 米光:深夜のテンションでポエムを書いてしまったので、そこは削りました(笑)。気持ちとしては13歳の僕に向けて書いていますが、読むのは今の時代の人たちのため、『スター・ウォーズ』の話は割愛したりして、ギュッと凝縮しました。それに、ページ数という制約があったおかげで、逆に冗長な部分を削ることができて、結果的には良かったなと思っています。 ――まさにそれも「ルール」ですよね。本書を読んで改めて、ゲームの面白さはルールによって左右されるということがわかりました。 米光:僕はこれまでコンピュータとアナログのゲームを作ってきましたが、「ルールを守ること」で初めてルールが維持されて、ゲームは成立するのです。特にアナログゲームはみんなで遊ぶものなので、勝ち負けがあるとはいえ、実は協力作業なんですよね。守らなくてもいいルールを、みんながきちんと守ることで楽しさが生まれる……。つまり「ルールを守りながら遊ぶこと」自体が楽しいのです。 手札を隠したりしてインチキができるルールのゲームもありますよね。しかし、そこであえてインチキをせずに遊ぶことで、「面白い場」が生まれます。
「ぷよぷよ」は驚きの少人数チームで生まれた
――本書では「ルールのつくりかた」こそが「ゲームの楽しさ」につながっていくと指摘されています。そのためのさまざまなノウハウが紹介されており、ゲーム好きでなくとも多くの学びが得られます。 米光:もともとはゲーム作りたい人向けに書いていたのですが、前出の動機があったため、書いているうちに「もっと広い人に届けたい」と思うようになりました。 当初のタイトル案は『楽しいゲームのつくりかた』でした。僕もそのタイトルに沿って書いていたのですが、最終的に編集者から「この内容だったら『人生が変わるゲームのつくりかた』のほうが合っていると思います」と言われたのです。「ちょっと大げさかな」と悩みつつも、書き上げたときには「確かに『人生が変わるゲームのつくりかた』のほうがタイトルとして合っているな」と実感しました。 ――「コミュニケーションがうまく取れない」という実体験が、ゲームにつながったというエピソードは印象的です。 米光:僕はコミュニケーション下手です。僕が最初にコンピュータゲームの制作を始めた頃は、所属していたコンパイルという会社も10人くらいの小規模なチームで、和気あいあいとした雰囲気で作業ができました ――そんな少人数で『ぷよぷよ』は作られたのですか……! 米光:しかし、1990~1995年以降、PlayStationなどの登場で制作人数がどんどん増えて巨大化していき、スタッフ数は150人以上に膨れ上がっていました。その規模になると、ディレクターには統率力が求められます。しかし、コミュニケーションが得意でない僕のような人間が上に立つと、すれ違いや誤解がたびたび起こりました。