「クルマの免許なんて要らねえや!」ホンダ・フリードの開発者が「免許ナシで入社」した意外な理由
● 2024年COTY受賞、ホンダのコンパクトミニバン「フリード」 ホンダのフリードが絶好調である。手頃な価格設定、5ナンバー枠に収まるコンパクトなサイズ、それでいて広く使い勝手の良い室内。昨年12月には、栄えある日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)まで受賞した。実にめでたい。 3代目フリードは何を目指し、どのようにして造られたのか?開発責任者インタビューの続編である。本田技研工業 電動事業開発本部 BEV開発センター 統括LPL シニアチーフエンジニア 安積悟さんに、引き続きお話を伺っていこう。 フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):新しいフリードの最大のトピックは何でしょう? 本田技研工業 電動事業開発本部 BEV開発センター 統括LPL シニアチーフエンジニア 安積 悟さん(以下、安):最大のトピックは、なんと言ってもハイブリッドシステムを大きく変えてe:HEVを採用したことでしょう。これにより、燃費が大きく改善しました。 安:次にデザインをガラッと大きく変更したこと。新しいデザインテイストと、それに併せたインテリアの使い勝手。室内に関して強調して申し上げたいのは、リアクーラーが付いていることです。 F:リアクーラーは先代まで付いていなかった? 安:付けていませんでした。新しく設定したら、これがまたお客様に大変好評で。 F:ライバルの“あのクルマ”にも付いているのですか? 安:ないですね。フロントからしか出ていない。 ここでいう“あのクルマ”とは、トヨタの「シエンタ」のことである。
● 3列目シートを冷やせるリアクーラーを付けた本当の狙い AD高橋:確か“あのクルマ”にはサーキュレーターが付いていませんでしたっけ? 安:サーキュレーターは空気を循環させる仕組みです。こっちは冷媒で冷やす、ちゃんとしたクーラーです。だから風の温度がまったく違います。しかも後部座席から風量調整ができるんです。ミニバンは前後座席の温度差が大きいんですよ。吹き出し口が前だけだと、シートが邪魔してしまって後部座席に冷気がうまく回らない。さらに後ろにある3列目となると、冷えるまでにはもっと時間がかかる。温度調整に関しては、前後連動になってしまいますが、風量は後部座席から変えられますので。 フリードには福祉車両の設定があるんですよ。今回特に気にしたのがこれです。福祉対象の方が乗られるのは、3列目の位置なんですね。車椅子はリアゲートから乗っていただくわけですから。 F:それはどういう……。