AIを使ってもテストの点はとれない? ドイツの大学生の調査から見えてきた、生成AIを使うリスク
大学生の半数弱が使用している文章生成AI
ChatGPTが2022年11月末にリリースされてから、丸2年が経過した。生成AIサービスの先駆けとなったChatGPTは、登場からおよそ2か月でアクティブユーザー数が1億人を突破しており、この速さはTikTokやFacebookといった他の著名サービスをはるかに上回っている。それだけこのサービス、そして生成AIが、多くの人々から革新的な技術だと見なされた証と言えるだろう。 【漫画】死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 いまやさまざまな年齢層の人々にとってお馴染みとなったChatGPTだが、大学生も例外ではない。全国大学生活協同組合連合会が、毎年全国の国公立および私立大学の学部学生を対象としたアンケート調査「学生生活実態調査」を行っているが、今年3月に発表された第59回調査によれば、「ChatGPTなどの文章生成系AI」を利用した経験のある学生は、全体の46.7%とほぼ半数に達している。 継続して使用している学生も28%存在しており、利用目的としては「論文・レポートの作成の参考」や「翻訳・外国語作文」、「相談・雑談相手」などが挙げられている。この調査が行われたのは2023年10月から11月にかけてであり、それを考えると、現在はさらに普及が進んでいると考えられる。 ただChatGPTを始めとする生成AIについては、曖昧な質問でもそれっぽい回答を返してくれることから、「自分の頭で考えないようになるのではないか」や「間違った回答を鵜呑みにしてしまうのではないか」といった懸念があり、学生の生成AI利用について批判する声も少なくない。果たして大学生がChatGPTに頼るのは、望ましくない傾向なのだろうか?
ドイツの学生を対象に行われた調査
この問いに関して、ドイツで興味深い調査が行われている。これはドイツのブレーメン大学の研究者らによって行われた調査で、その結果は「生成AI利用と試験のパフォーマンス」というタイトルの論文として発表されている。 この論文によると、調査の対象となったのは、ブレーメン大学で財務会計の入門コースを受講した学生たち(ただし彼らの専攻はビジネス、経済、マネジメントなど複数に分かれていた)。このコースにおいて学期中に行われたケーススタディの課題と、学期末の試験結果が、研究対象として使用された。当初は572名の学生が調査に参加していたが、課題を提出しなかったり、試験を受けなかったりした学生が除外され、最終的には193名の学生が分析の対象となっている。 分析ではまず、学期中に行われたケーススタディの課題において、学生たちが提出したレポートが生成AIを使って書かれたものかどうかがチェックされた。これは「ZeroGPT」というツールを使って行われ、同ツールによってAI生成の可能性が50%以上と判定された場合、そのレポートをAI生成と見なした。その結果、レポート提出者のうち、AIを利用したと見なされた学生はおよそ3割(193人中59人)だった。 次に期末試験の点数を分析して、レポートの作成においてAIを使った学生と、使わなかった学生の成績が比較された。つまり生成AIに頼る行動を見せた学生とそうでない学生の間で、学力に差が出たかどうかが検証されたわけである。