伝統行事でも「許されない行為はある」約700年前からの神事に迫る刑事処罰の可能性【弁護士解説】
伝統行事と法律の理想のバランスとは
――伝統行事と法律のバランスを考えたとき、どこで線引きするのが理想といえるのでしょうか。 荒木弁護士:意図的に動物に危害を加えたり、動物が傷つけ合う状況を作ったりするような行事は、動物愛護法に違反する可能性が高いと思います。 今回の「上げ馬神事」のように、改善なく「みだりに」動物を傷つけることや、傷つけるおそれがある行為を続けていれば、今後は動物愛護法違反として処罰の対象となる可能性があります。 ――最後に動物を愛する法律家として、荒木先生が考える、動物と人間が共生していくうえでの理想形についてお聞かせください。 荒木弁護士:私たち人間は、生まれながらにして憲法や法律によって人権が守られていますが、一緒に暮らす動物たちにも、安全に暮らせる環境が作られるべきです。 動物は、愛情を持って接すれば、それ以上の愛情をもって人間に接してくれる存在です。私自身、動物が大好きで、物心ついた時からたくさんの犬や猫に囲まれて暮らしてきました。 今までの人生を振り返ると、犬や猫がそばにいてくれたおかげで救われたことは、数えきれないほどあります。きっとそのような経験をしたことがある人は、私だけではないと思います。 動物愛護の意識が世間に広がってきたいま、動物が安全に暮らしていける環境を作ることは、私たち人間としての重要な責務だと考えています。 動物が笑顔で暮らせる環境は、私たち人間も笑顔で暮らせる環境だといえますので、そんな世界をみんなで作っていきたいですね。
弁護士JP編集部