「富士山噴火」で「噴石」を降らせる噴火「2タイプ」をシミュレーション…知っておくべきは「危険範囲」と「火口位置」
火山における噴石について、前回の〈もうすぐ「山開き」の「富士山」で噴火がおこったら…飛んでくる「噴石」は直前まで「予測不可能」という驚愕の事実〉では、噴石は、噴火の直前まで「予測不可能」で、また噴火が始まったら、「真っ先に降ってくる」可能性が高いということをご説明しました。 【画像】噴石のハザードマップを見てみる 一口に噴石と言っても、生じやすい火山のタイプがあります。今回は、噴火のタイプによって、どのような被害が生じるのかを、机上でシミュレーション的に考察してみたいと思います。 *本稿は、ブルーバックス『富士山噴火と南海トラフ』の内容を再構成してお送りします。
噴石を降らせる3つの噴火タイプ
もし富士山が噴火して、噴石が飛んでくる場合には、異なる三つの状況が考えられる。それは、噴火のタイプによって決まってくる。火山の噴火にはさまざまな現象があるが、多様なそれらに共通点を見出し、代表的な事例の火山名や目撃者名をつけていくつかのタイプに分類されている。 噴石に関係する噴火タイプとしては、ブルカノ式噴火、ストロンボリ式噴火、プリニー式噴火に分類される。 ブルカノ式噴火浅間山や桜島と同じように、比較的小規模の噴火によって噴石が飛ぶ噴火タイプストロンボリ式噴火山頂の北西と南東にある側火口からマグマのしぶきを断続的に噴き出すタイププリニー式噴火もっと大規模の噴火にともなって噴石が広域に降り積もるタイプ なお、「一つの火山には一つの噴火タイプだけ」という先入観を持たれるかもしれないが、そうではないことを先に述べておきたい。富士山では3つのタイプが起こりうるのである。 富士山が噴石を噴出する場合にとくに注意しておくべき噴火タイプは、上記の3タイプのうち、プリニー式噴火とストロンボリ式噴火の2つである。この2つの噴火タイプで、実際に起こったらどのようになるのか、まずは規模が大きく、噴石としては広域に被害を生じさせかねない「プリニー式噴火」の場合から見てみよう。 *それ以外の噴火タイプにも、それぞれ特徴がある。拙著『富士山噴火と南海トラフ』に詳説したので、ご一読いただきたい。