「富士山噴火」で「噴石」を降らせる噴火「2タイプ」をシミュレーション…知っておくべきは「危険範囲」と「火口位置」
噴石の「危険範囲」はどれくらい?
過去3200年間の富士山の噴火をもとに、噴石のハザードマップが描かれているが、そこではやはり、プリニー式噴火とストロンボリ式噴火が想定されている。 プリニー式噴火によって噴石が到達する可能性の範囲は、過去に大規模な噴火を起こした火口分布をもとに、それぞれの火口から4キロメートルの範囲が囲われている。これは〈「富士山噴火」で起きる「火砕流」とすさまじい破壊力の「火砕サージ」…もし襲われたら「即死」の恐怖〉など、火砕流についての記事で述べた「想定火口範囲」の大規模噴火火口分布領域に相当する。 ストロンボリ式噴火によって噴石が到達する可能性のある範囲は、過去に大規模、中規模、小規模の噴火を起こした火口の分布をもとに、それぞれの火口から2キロメートルの範囲を囲っている。が、この火口範囲の読み方には注意が必要である。 噴石のハザードマップは、この火口分布の特徴を踏まえて、想定しなければならない。続いて、噴石のハザードマップにおける注意点と、どのように被害を防ぐべきかについて、考えてみたい。 ◇ 噴火が起こると、真っ先に起こるのが「噴石の落下」で、それは火口に近いほどその被害が大きいことが予想される――すなわち登山客の増える山開き後の被害は、とくに大きなものとなることが懸念されると言えましょう。 ハザードマップもただ眺めているだけでは、いざという時に活用できません。どのようにマップが制定され、そこからどのような情報を読み取ったらよいのか、起こったらどのように被害を防げば良いのか……次回でご説明しましょう。 ※続きは、下の【関連記事】にある、〈「富士山」で噴火がおこったら…噴火直後から飛んでくる「噴石」、身を守る「意外な最善策」〉からご覧いただけます! 富士山噴火と南海トラフ――海が揺さぶる陸のマグマ
鎌田 浩毅(京都大学名誉教授)