楽天ドラ1の宗山塁、野球引退の清原正吾ら、ドラフトを賑わせた東京六大学の選手たちが最終戦後に残した言葉
【清原正吾は野球とは別の道へ】 今年、東京六大学野球からは6名がドラフト指名を受け、プロの道に進むこととなった。一方で、指名がなく別の道に進む決断をした者もいる。今後に注目が集まるのが、慶應義塾大で4番を務めた清原正吾だ。 NPB通算525本塁打の記録を持つ和博氏を父に持つ清原は、中・高の6年間は別競技を行なっていた"ブランク"がありながら慶應義塾大で成長し、春のリーグ戦ではベストナインを獲得した。秋のリーグ戦では打率.264ながらも3本塁打をマーク。9月28日の明治大戦では、1点ビハインドの9回2死の場面でリーグ戦初となる本塁打を放って勝負強さを見せつけた。 ドラフト会議後初の公式戦となった早慶戦(11月9日)では、1本塁打を含む4打数4安打1打点の活躍。そのうち3本は「バットを素直に出すことだけを意識して練習してきた」という逆方向(ライト)への安打。成長した姿を見せると、6回には相手投手の失投を見逃さずにレフトへ3号の本塁打を放ち、スタンドで見守る父・和博氏に向けて指をさす場面も。 「(指をさした)気持ちとしては『見たか!』っていうところもあれば、『本当にここまで育ててきてくれてありがとう』という気持ちでした」と、その時の印象を語った清原は、こう喜びを爆発させた。 「早慶戦は僕にとっては特別な舞台ですし、本当にたくさんのお客さんが入ってくださるなかでダイヤモンドを一周するのは特別な経験でした。一生の思い出になるのかなと思います。 本当に僕のすべてをかけてここまで挑戦してきました。『少しは(チームに)報えたかな』という気持ちと、明日(翌日の早稲田大との2戦目)も引き続きチーム勝ちに貢献できたら、という思いがあります。僕にとっては大学生活最後の試合なので、本当にすべてを出し切って、勝って、みんなで笑って終わりたいと思います」 その試合で、チームは2-1と逆転勝利。清原は4打席に立って内野安打1本のみに終わったものの、試合後には涙を流し、スタンドに向けて「ありがとう」の言葉を残して、充実した4年間に別れを告げた。 「挫折やしんどい時期もありましたけど、ずっとそばにいてくれた家族や野球部のみんなのおかげでここまでやってこられたと思います。早稲田に連勝することだけを考えて過ごしてきたので、この先の進路に関しては、自分の中で腹に落として、きちんと自分と見つめ合って考えたいです」 リーグ戦の終了時点では自身の進路については「どの選択肢もあり得る」として明言を避けていたが、11月25日には自身のSNSで野球以外の道を目指すことを表明。「大学から再び始めた野球人生でしたが、どれもが自分を成長させてくれる貴重な経験ばかりでした。目標に向かって、自分の気持ちに正直に正面から挑戦出来たことに後悔はありません」と思いを綴った。 ユニフォームを脱ぐ者も含め、さまざまな思いとともに学生生活を終えようとしている選手たちが、素晴らしい春を迎えることを願わずにはいられない。
白鳥純一●取材・文 text by Shiratori Junichi