“検挙人数”最多はベトナム人や中国人でも「クルド人」に非難が集中 “偽装難民”問題の背景にある「出入国在留管理庁」の複雑な事情
間に合わないビザの更新
そうならないように期日の3カ月前から入管で更新手続きが開始されるわけだが、言うまでもなく入管は該当するビザが切れる期日までに更新手続きを完了させなければならない。ところが、その日に間に合わないことが多々ある。 フォロー策として「ビザの更新期日を過ぎてもその後2カ月間は猶予を設ける」としており、多数の在留外国人たちが在留期限を過ぎた猶予期間に更新手続きをやらざるを得ない状況が慢性化している。 別に猶予期間内であっても更新できればいいじゃないかと言う人もいるが、在留外国人は、勤務する会社との雇用契約や銀行の個人口座や各種カード類が「在留期限」と紐付きになっているケースが多い。 在留期限が切れる期日までに入管による更新手続きが完了しないと、生活に関わる様々な契約内容が自動的に期限切れ扱いとなってしまい、酷いケースになると勤務先から解雇処分を受けたり、銀行口座が強制凍結されてしまうのだ。 契約先に対して「2カ月先までの猶予期間がありますから私のビザは今日も有効です。これは入管が決めたことです」と説明をしても、入管の規定や業務に詳しい担当者は現在の日本社会には皆無で、再雇用や再契約には至らない場合も多い。 それどころかこういった在留外国人たちのことを嘘つき呼ばわりにする人もいる。こういった問題はこれから先も増え続けていくかもしれない。
足りない事務補佐員
2024年3月。特定技能を持つ外国人労働者について向こう5年間で82万人を受け入れ上限とする閣議決定をした。現状でも既にパンク状態に陥っている入管業務はこの先どうなっていくのだろうか? 全国の入管職員の総数が、取扱業務件数に対して圧倒的に足りない原因のひとつには、職員の採用条件によるところがある。 入管職員として採用されるためには、一部の非常勤職員や通訳担当者以外、公務員試験に合格しなければならないという採用基準がある。 通訳担当者にこの条件はなく別途採用枠が設けられているとはいえ、入管職員であるならば、通常業務に支障がないレベルの英語ぐらいは話せた方がいい。一応TOEICスコア400点以上が目安とされている。これは最低限の日常英会話ができるレベルとされている。 こういった採用基準だと、例えば来年度は職員を全国で5000人増強する採用計画を立てたとしても、公務員試験に合格したTOEICスコア400点以上の人材を5000人も確保することは現実的には難しい。 非常勤職員枠である事務補佐員にはこういった採用条件はなく、高卒又はそれと同等の学力を有する者でPC操作ができる日本国籍者であればいい。事務補佐員を積極採用することで、職員総数を増強させて少しでも業務の負担を軽減してもらいたいところだが、事務補佐員という職業の知名度が低いせいか、入管業務をスピーディーに行えるまでの人員確保はまだできてはいない。この記事が事務員補佐員の知名度向上に少しでも貢献できたら幸いだ。