九死に一生を得た漫画家、後遺症で手は震え…支えになった亡き夫の「ひと言」とは?
毎日同じようなことのくり返しで、つまらないと思うこともあるでしょう。でも、土の中に根を張って、春になれば花を開かせる野の花のような底力は、どんな人間にもあると思います。悩んだり、悲しくなったりしたら、逆転の発想で思い出からすてきな言葉をたぐり寄せてみませんか?あったかいものに包まれ、自信をもって前を歩くことができるかもしれません。 わたしたちの年齢になれば、誰しも身近な人の訃報が突然のように舞い込んでくることが多くなります。家族だけでなく、かつての恋人や、友人も。サリー(編集部注/4コマ漫画『小さな恋のものがたり』の男主人公)のモデルでもあるわたしの初恋の人、M君は、40代で交通事故に遭い、その後、療養して帰らぬ人となったことを、人づてに聞きました。 一報を聞いたときは、かなり衝撃を受けましたが、時間が経った今では、彼は今も大切な思い出となってわたしを支えつづけてくれています。 一緒に洋食を食べに連れてってもらったときに、キンチョーのあまりわたしがエビフライにナイフを入れて食べようとした瞬間、エビがとびはねて床に落ちてしまったことだとか……(笑)。喜劇役者になりたいという夢があったM君とのデートは、楽しいというより面白かったのです。思い出の中には、笑えることも本当にたくさんあって、元気が湧いてきます。 執筆が終わり、ほっとできるはずなのに、若いころからの習慣で夜中1時ごろから目が冴えて、チッチが何か描いてと頼んできます(笑)。次はチッチの詩集を書けたらいいなと思いつつ、体に無理のない範囲で新しいことにチャレンジしつづけていきたい。そう思っています。
みつはしちかこ