中島健人はなぜ、挑み続けるのか?夢の海外ドラマ『コンコルディア』を経た、エンターテイナーの現在地
英語のセリフや、まったくOKが出ないシーン。数々の壁をどう乗り越えた?
天才エンジニアという役の性質上、セリフには専門的な言葉も多く、通常の英語セリフ以上に苦労を強いられた。Sexy Zoneのライブツアー中にも練習を行なっていたそうで、「すごい覚えてるんだよな、あの時期」と中島は当時を振り返る。 「何度もセリフを分解して、研究していましたね。ちょうど2年前の夏だから、Sexy Zoneのライブツアーと並行してめちゃくちゃ練習していました。仙台公演のときは、ホテルの目の前に映画館があって、そのライトに照らされた台本を見ていましたね」 ローマでの撮影が始まってからも、現場で変わるセリフに対応するなど、準備を重ねながら本番に挑む日々。発音について現場で厳しい指摘を受けることも一度ならずあった。 「すごかったですね、めちゃくちゃ厳しかったです。何かあったらすぐ飛んでくるんです。『健人、ここのセリフなんだけど、もう少しプロナウンス(発音)直せる? 難しかったら切ることも可能だけど』みたいな。結構痺れる戦いでしたね」 難しいシーンで助けになったのは共演者の存在だ。ドルジャーはプロダクションノートの中のインタビューで、俳優は監督や脚本家には気楽に話すが、ほかの俳優に頼るのは弱さの表れだと考える人もおり、共演者に演技のアドバイスを求めるのは稀だとしたうえで、「そんななか、健人は、一緒に現場にいる英語を話す俳優たちにアドバイスを求めることを躊躇しませんでした」と中島の様子を印象深げに振り返っている。 「新人の気持ち」で臨んだという中島にとって、良い作品をつくり上げることにおいて、そのようなプライドは不要だったのかもしれない。 「みんなでパソコンを囲むシーンで僕のセリフがうまくいかなくて、何度やっても全然OKが出ないことがあったんです。クリスティアーネ・パウルという『エミー賞』を受賞されている女優さんが今回出演されているんですが、そのときにその方が『リラックスして。こういうことはよくあるから』って話してくれたり、僕のライバル役のスティーヴン(シュテヴェン・ゾヴァー)も励ましてくれたりしました。短いけど大事なシーンで、難しくて。みんなに支えてもらってなんとか乗り越えられたと思います」 うまくいかず悔しい思いをした場面もポジティブに振り返る。 「一番悔しかったのは、なかなか本番を開始してもらえなかったときのこと。監督のバーバラが、僕のA・Jとしての役のテンションが整うまでカメラを回さないって言うんですけど、それが本気で(笑)。リハーサルを12回くらいやったかな。普段は優しい人ですが、そのときは何回やっても『No』って全然カメラを回してもらえなかった。ワンシーンだけですが、みんなが見ているなかで、『健人が整うまで待つ』って僕とバーバラのタイマンみたいになっていたことがありました。あれが一番ハードでしたね。怖かったです。 でも、そこまで僕に本気になってくれたことが嬉しかったんですよ。そうやってしごかれたときも、最終的には『気持ちいい~』と思いました(笑)」