虎のソナタ 最初で最後の’24ユニホーム!? 来季から一新!キャンプでは2025年用戦闘服に
ひな壇の中央に監督・藤川球児が座っていた。阪神の新入団選手発表会見。26年前の、まだ高知商高3年・藤川投手の入団会見を見た者は、不思議な感覚に襲われた。 【写真】阪神D2位・今朝丸裕喜は「才木を思い浮かべる」と球団トレーナー「才木2世でいいんじゃないですか」 あの日も、場所は同じ大阪市内の高級ホテル(もうちょっと狭い部屋だった気がする)。言いたい放題の18歳。苦笑いの当時監督・野村克也。爆笑のやりとりが鮮明によみがえってくる。 26年後。監督になった男は、実に流暢(りゅうちょう)に話していた。 「言葉は力なり」 名将・野村の数ある語録の中でも、特に有名な一句だ。 「リーダーが力を発揮できる最大で唯一の媒体は言葉である。その言葉に選手がどれだけ胸を打たれるかで、そのリーダーの値打ちが決まる」 ルーキー一人一人に、言葉を投げかけていた。どれだけ胸を打ってもらえたのか。 26年前のように「10年間で3回優勝して1回胴上げ投手になって…」と好き勝手話す選手はさすがにいなかった。が、各選手の受け答えは実にオトナだった。 トラ番キャップ・新里公章の感想は、ド直球。 「印象に残ったのは、やっぱりドライチの伊原クンです。壇上で藤川監督と問答になった時も、落ち着いて、丁寧に、気の利いた答えをしていました。頼もしく感じました」 変化球の感想を伝えてきたのはトラ番・邨田直人だ。 「3位指名の木下投手は、ドラフト当日も会社(KMGホールディングス)に駆け付けた縁もあって、今回も取材したんですが、セールスの仕事をしていただけのことはあるなぁと感じました」 確かに、話し言葉を聞いていると、時々、「ございます」という超丁寧語が混じるのだ。邨田によると、会話の中に「安心」の2文字がすぐに登場するのだとか。 「それって、車を売る時のセールスの言葉では、と思うぐらい。常にお客さんと一対一で話す機会が多かったはず。人とうまく接することは、新入団選手の中でもトップクラスでは」 直球でもなく、変化球でもなく、まさかの〝牽制球〟を投げてきたのはトラ番・須藤佳裕。 「発表の場で、ルーキーが袖を通していたユニホームは、今季のものなんです。チームは来シーズンからホームもビジターも一新するじゃないですか。ということは、彼らは、あのユニホームを着用するのは最初で最後になるかも」