ザックジャパン サプライズ選出はあるか?
4年に一度のW杯に臨む日本代表メンバーの発表は、常に悲喜こもごものドラマを生み出してきた。1998年フランス大会のカズと、2002年日韓共催大会の中村俊輔の落選。エース格だった久保竜彦に代わって滑り込んだ2006年ドイツ大会の巻誠一郎と、その年の公式戦出場がゼロながら精神的支柱として抜擢された2010年南アフリカ大会の川口能活。 約1か月後の5月12日。アルベルト・ザッケローニ監督のもとでブラジルの地に挑む、総勢23人の代表メンバーが発表される。2010年秋のチーム発足当初からメンバーをほぼ固定して戦ってきたイタリア人指揮官の脳裏には、チームの骨格を形成する不動の選手たちの名前がすでに刻まれている。 MF本田圭佑(ACミラン)やFW香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)、DF長友佑都(インテル)らのヨーロッパ組はもちろん、先の代表候補合宿参加を免除されたMF遠藤保仁、DF今野泰幸(ともにガンバ大阪)、FW柿谷曜一朗、MF山口蛍(ともにセレッソ大阪)らの国内組も「当確」が灯ったと言ってもいいだろう。 ■土壇場で滑り込むのは大久保嘉人か 石橋を叩いて渡るように、慎重に慎重を重ねてチームを熟成させてきたザッケローニ監督の構想においては、いわゆる「サプライズ」は起こらないのだろうか。元日本代表MFで現在は解説者を務める水沼貴史氏は「答えは決してイエスではないと思う」として、土壇場で代表へ滑り込むべき選手にFW大久保嘉人(川崎フロンターレ)を推す。 「ザックジャパンの攻撃はトップ下の本田と左の香川がゲームを作り、右の岡崎(慎司=マインツ)が相手の最終ラインの裏を絶えず狙うことで、相手の守備網を崩してきた。愚直な動きを繰り返せる岡崎が時間の経過とともにキーマン的な役割を担うようになった一方で、左サイドで同じ動きをする選手が不在だった。大久保はまさに打ってつけの存在であり、なおかつトップも務めることができる。前線の2つのポジションをこなせるユーティリティーさも、チームにとって大きなプラス材料になる」 例えば本田をワントップに据え、2列目を左から大久保、香川、岡崎で組むこともできる。本田にアクシデントがあった場合にも、大久保を左に入れれば香川をトップ下に回すことができる。右の岡崎の代役も務められるし、A代表での経験と実績が足りない柿谷や大迫勇也(1860ミュンヘン)に代えて、大久保をワントップで起用する布陣も十分に考えられる。