ザックジャパン サプライズ選出はあるか?
「塩谷は身体の強さや1対1の対応に加えて、スピードとビルドアップの能力を兼ね備えている。自分のラインをボールが超えていったときに必死になって戻れるかどうかを、私は守備の選手を見る際の指標のひとつにしている。そうした動きには体力やスピードはもちろんのこと、メンタリティーの強さも問われてくるからだ。サンフレッチェの森保一監督によれば、塩谷は攻め上がった後の戻りが群を抜いて速く、しかも同じ動きを繰り返せるという。史上2チーム目となる3連覇を狙うチームのレギュラーを務めているという自信が、今シーズンのプレーにも表れていると思う」 2年前はJ2の水戸ホーリーホックでプレーしていたが、182cm、80kgの体に宿る潜在能力を見込まれて、2012年8月にサンフレッチェへ完全移籍。昨シーズンから3バックの右で定位置をつかむと、全34試合、計3060分にフルタイム出場を果たしてJ1連覇に貢献した。今シーズンは攻撃的なセンスも花開かせ、DFながらACLを含めた公式戦11試合で計6ゴールをマーク。国士舘大学3年まではボランチを務めていたので、左右両足から長短の正確なパスも出せる。 代表候補合宿を総括したザッケローニ監督は、こんな言葉を残している。 「所属するクラブでやっていないポジションで、いけるかなというポジティブな反応があったことはよかった」 鈴木は昨シーズンから、レイソルで幾度となく右サイドバックを務めている。翻って、塩谷は右サイドバックに初めて挑戦した。個人名には言及しなかった指揮官が、誰を念頭に置いていたのかは言うまでもないだろう。 ■塩谷司の選出で選手選考に幅が広がる 代表選手23人をポジション別に分ければ、GKは「3」、DFは「8」、ボランチは「4」、2列目とトップを合わせた「8」が、「4‐2‐3‐1」布陣のチームを作る上で基本となるだろう。しかし、ユーティリティープレーヤーの塩谷が入ることで、例えばDFを「7」として、減らした分を故障離脱中のキャプテン長谷部誠(ニュルンベルク)を抱えるボランチや、攻撃陣の層をさらに厚くする選手選考も可能になる。