ザックジャパン サプライズ選出はあるか?
選手起用の幅が広がるだけではない。昨シーズンに26ゴールをあげて初のJ1得点王を獲得した大久保は、今シーズンも絶好調をキープ。7試合で5ゴールと昨シーズンを上回る量産体勢に入っている。昨シーズンから幾度となくゴールネットを揺らした正確かつ強烈なミドルシュートは、いま現在のザックジャパンの攻撃陣が持ち合わせていない武器でもある。前線から相手に泥臭くプレスをかけ続けることも厭わない。前回の南アフリカ大会を主軸として戦った経験を含めて、水沼氏は「いまが旬の大久保は代表に招集されるべき選手」と指摘する。 「世界と対峙するにはミドルシュートは必要不可欠。前大会の主力はほとんど現在のチームに残っているから、本田たちとのコンビネーションを不安視する必要もない。何よりも大舞台を戦い抜いたメンタリティーは、ザックジャパンでも必ず必要とされると思う」 大久保や佐藤寿人(サンフレッチェ広島)に対する待望論は、ファンやサポーターの間で以前から根強く唱えられていた。これまでのザッケローニ監督の選手選考を鑑みれば大久保招集は「サプライズ」となるが、その時点でのベストの選手が選ばれるのが代表という原理原則に従えば、むしろ必然と言ってもいい。大久保を推す水沼氏も、「真の意味でのサプライズはDF陣にあるのではないか」と予想する。 センターバックの吉田麻也(サウサンプトン)と右サイドバックの内田篤人(シャルケ)が故障している最終ラインにおいても、一人で複数のポジションをカバーできる選手がいればチーム編成に余裕ができる。例えば酒井高徳(シュツットガルト)は左右のサイドバックを遜色なく務められる点で、右サイドバックの酒井宏樹(ハノーヴァー)に対して大きなアドバンテージを持つことになる。 ■代表経験のない塩谷司が滑り込む? これがセンターバックと右サイドバックという、故障者を抱える2つのポジションでプレーできる選手ならばどうなるか。リスクマネジメントの面でも、いま現在のチームに求められることは言うまでもない。先の代表候補合宿では、塩谷司(サンフレッチェ広島)とロンドン五輪代表の鈴木大輔(柏レイソル)が「二刀流」をこなせる可能性を示したが、水沼氏は年代別の代表経験も何もない前者を推す。