センバツ高校野球 八戸西、粘り及ばず 最後まで果敢な攻め /青森
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)に21世紀枠で初出場した八戸西は22日、同じく21世紀枠の具志川商(沖縄)と対戦し、8―3で敗れた。序盤で得点を許し苦しい展開となったが、終盤で粘り強さを発揮して点を返し、最後まで懸命に立ち向かった。目標の初戦突破はかなわなかったが選手らは夏に向けて気持ちを新たにし、再びこの舞台に戻ってくると誓った。【南迫弘理、荻野公一、皆川真仁、宮島麻実】 スタンドには生徒ら約600人が駆けつけ、この日のために作った緑のジャンパーとメガホンで応援した。 最初のチャンスは二回表。先頭打者の広田大和(3年)がライト前にチーム初安打を放ち出塁。京都から駆けつけた広田の兄真龍さん(20)は「うれしい。よくやってくれた」と声を弾ませた。その後、後続の安打などでホームまで突っ込んだが、やむなくアウトに。点数には結びつかなかったが、果敢な攻めがスタンドを沸かせた。 しかしその裏に相手打線に捕まった。先発したエース福島蓮(3年)が4連打を浴びるなどして4失点。スタンドでは福島と同じクラスの河田紗映さん(17)が「いつも通りやってくれればきっと逆転できる」と祈った。 反撃ののろしがあがったのは6点を追う七回。安打や四死球で2死満塁とすると、桐山大空(3年)がライトにタイムリーを放ち2得点。桐山の父英夫さん(45)は「甲子園に初めて来てタイムリーを打てたのでこれ以上無い」と感動し通し。野球部と交流を続ける八戸高等支援学校3年の野辺地碧流(へきる)さん(17)も「最後まで全力でプレーして追いついて」とエール。スタンドは一気に活気づいた。 2点を加点され、6点差で迎えた九回。先頭の村上歩夢(3年)が安打で出塁した。続く下井田大和(3年)もセンターにはじき返すと、相手の守備の乱れを突き村上が一気にホームイン。意地を見せた。下井田の父公克さん(52)は「2打席とも塁に出させてもらえたので100点」と息子の雄姿をたたえた。 しかし、後続が打ち取られゲームセット。初勝利はならなかった。野球部OBの高田健也さん(18)は「夏に向けて頑張ってほしい」と後輩たちにエールを送った。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇投打で流れ変える 八戸西・広田大和投手(3年) ナインにとって初めての甲子園。「みんなが浮足立っていたので、流れを変えようと打席に立った」。二回表、インコースのストレートをライト前にはじき返し、チーム初安打に。落ち着かないベンチの雰囲気を吹き飛ばした。 昨秋以降、「二刀流」として投打を磨いてきた。この日も、エースの福島蓮投手の調子を気にかけ、いつでも援護ができるよう試合前から心の準備をしていた。 五回の攻撃が終わると、小川貴史監督から「いくぞ」と声をかけられ、腹をくくった。点差は5点。チームは相手打線を抑えきれず、悪い流れが続いていた。六回以降、最後までマウンドに立ち3失点。「気持ちが先行しすぎて球が高めに浮いてしまった」と悔いるが、相手への流れを断ち、反撃につなげた。 冬からの課題だった投球の力みが出てしまったのは次の大会までの宿題だ。「また夏に来よう」。笑顔でみんなと誓った。【南迫弘理】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦 八戸西 000000201=3 具志川商 04010120×=8