WRC2024第8戦ラリー・ラトビア プレビュー 新規参入のグラベル戦
ラトビアは隣国のエストニア、リトアニアと共にバルト三国と呼ばれ、バルト海を隔ててフィンランドがあります。ちなみにエストニアは、タナク選手の出身国です。
ここでもフィンランドの影響を受けてラリーが盛んに行われており、ヨーロッパ選手権レベルの経験があります。ラリー・ラトビアは発足当時雪と氷の冬季開催でしたが、2019年に5月開催に移行。ヨーロッパ選手権のイベントとして前向きな努力を重ね、今回WRC開催にこぎつけました。WRC初参入ですから現役のトップドライバーたちは情報が少なく正確なペースノートを作成するのが困難なものの、一部の北欧ドライバーはヨーロッパ選手権のイベント時代にラトビアを経験した選手もいます。
路面は北欧タイプのしっかりとした土台ですが、表面がややソフトの高速ラリーです。ポーランドとフィンランドの中間くらいの柔らかさのようです。
トヨタは今回4台のフル参戦、事故でポーランド欠場したオジェが復活、ロバンペラ、エバンスの3台がメーカーポイントゲッター、それに勝田がサブチームで参戦です。
ドライバーとメーカーで累計ポイントリーダーのヒョンデはヌーヴィル、タナクに加え3台目はフィンランド人のラッピが乗ります。フォードは今年大化けして累計ポイントで4位のオジェを1ポイント差で5位に付けるフルモーとミュンスターに加え、ノンハイブリッドでポーランドを善戦したセスクス(ラトビア)の3台体制です。
前戦ポーランドでは、レッキ中の事故のため欠場したオジェのピンチヒッターで急遽出場のロバンペラが劇的優勝を遂げましたが、私の現役中にも似たような経験をしたことがありました。1993年のラリー・アルゼンチンでカンクネンのコ・ドライバーを務めるユハ・ピロネンが現地で脳梗塞を発症し、チームは英国からニッキー・グリストを呼び寄せることになりました。彼が着いたのはラリースタートの前日。ピロネンがフィンランド語でなく英語でペースノートを作っていたため、そのまま使用して見事優勝。ニッキーはWRC初優勝を経験、カンクネンは93年ドラーバーチャンピオンになりました。これを記念してTTEはカンクネンに優勝車を贈呈しました。