実録「石丸現象」、“選挙のプロ”も舌を巻いた瞬間 選対事務局長も「まったく予期せぬ展開」だった
政治ジャーナリストの青山和弘が政党や各界の論客をゲストに招き、日本の政治を深掘りする「青山和弘の政治の見方」。今回はゲストに、参謀を務めた選挙での高い勝率から「選挙の神様」とも称される選挙プランナーの藤川晋之助氏と、SNSの専門家で東京大学大学院教授の鳥海不二夫氏を迎え、2024年に行われた選挙でとりわけ注目を集めた「石丸現象」「斎藤現象」について話を聞いた。 ※記事の内容は東洋経済の解説動画シリーズ「青山和弘の政治の見方」の下記の動画から前編の一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。 【動画を見る】石丸現象は予想できなかった?/都知事選/「政策論」より「物語」/兵庫県知事選/オールドメディアの敗北/ファクトチェック/選挙のビジネス化
▼前編 ▼後編 青山和弘(以下、青山):2024年の選挙シーンは、まさにSNSが席巻したといえます。藤川さんは東京都知事選挙で石丸伸二候補の選対事務局長を務めました。「石丸現象」は大きな話題となりましたが、最初からこういうものを起こそうと意図していた選挙戦だったのでしょうか? 藤川晋之助(以下、藤川):まったく予期せぬ展開だったというのが本音です。われわれ”選挙のプロ”というのは、(選挙結果に影響する活動について)大体地上戦が5割くらいで、空中戦が4割、SNSは1割程度だなと考えています。今の若い人たちがSNSで選挙に関心を持っても、投票行動に結びつかないだろうという認識をずっと持っていたんですね。
ところが、そういう固定観念が石丸現象によって完全に覆されました。いちばんの要因は、やっぱり石丸さん本人がYouTuberとしての才覚をしっかり持っていたことだと思います。 ■わずか10日間で知名度が爆上がり 藤川:彼が最初に私のところに来た時、東京都での石丸氏の知名度について調査をしたら、たった15%だったんですね。ほかの2人の候補(小池百合子氏、蓮舫氏)は70~80%なので、これはまずいなと。 そういう時にしなきゃいけないのは、「女性の2強対決」の報道に集中してしまっているオールドメディアに、石丸氏をしっかりと候補者として取り上げてもらい、なんとか「3強」の構図に持っていくことです。そのための救いはネットにしかないだろうと、そういう認識はありました。