国内最高齢の28歳、虹の橋をわたったパンダのタンタン…その在りし日の軌跡
ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。 【写真】パンダのタンタンと過ごした、すばらしい日々 2021年に心臓疾患が見つかり、治療を続けていたタンタンですが、2024年3月31日に虹の橋を渡りました。国内最高齢の28歳でした。いつでも笑顔をくれた神戸のお嬢様・タンタンをしのび、在りし日の日常を振り返りながらお伝えします。
お嬢様のお友だち
お友だちがタンタンのお庭を訪れたのが、連載7回目(https://gendai.media/articles/-/78681)。そのようすを教えてくれたのは、飼育員の吉田憲一さんです。「何年か前から、休園日は扉を開放して、寝室と外の出入りを自由にしています。ソウソウに、休みの日くらい好きなところに居て欲しいと思って」と、話す吉田さん。ソウソウはタンタンの中国名です。 「ソウソウが通路にいるのが見えたら、僕はなるべく、通路近くの部屋には居ないようにしています。ゆっくり過ごして欲しいからね」と、吉田さん。休園日は、構ってあげられる時間が増える特別な日だとも教えてくれました。 公式Xの「#タンタンさんのお友だち」では、ロバやヤギなど、同園のふれあい広場の動物たちと、タンタンのメルヘンな交流が紹介されました。「コロナで休園中に、ブンタ(ロバ)の散歩をしていて思いつきました。そしたら、ふれあい広場の担当者から、ほかの子も連れてって! と言われて」と、吉田さん。肝心のタンタンは「なんか居るな」という感じだったそうです。野生ではありえないシーンなのですが、なんだか和みますね。
クリスマスプレゼント!
8回目(https://gendai.media/articles/-/78907)の取材日はクリスマス。24日には、吉田さんから、タケノコとリンゴのプレゼントをもらったタンタンは、この日も何度か扉の前に座って、ずっとソワソワしていました。11時頃にいったん中へ入り、入れ替わりに、飼育員の梅元良次さんが出てきました。 手にはタンタンへのクリスマスプレゼント。氷の上に大好きなブドウと星形のリンゴ、ハート型のニンジンとペレットのツリーが描かれています。「去年のクリスマスは、サンタとトナカイだったので、今年はツリーかリースにしようと。リースは技術的にむずかしいかなと思ったので、ツリーにしたんです」と話す梅元さん。再登場したタンタンは、プレゼントに向かってまっしぐらでした。 プレゼントの始まりについては「20歳のお誕生日会ですね。そのとき初めて、バースデーケーキ型のエサをプレゼントしました」と、話す梅元さん。20歳を迎えた2015年は、タンタンの来園15周年。そのため、園でお誕生日イベントをすることになったのです。 一番喜んだのは、どのおやつなのか伺うと「誕生日のケーキであって欲しいですね。僕らも一番、力を入れているので」と梅元さん。25歳のお誕生日には、飼育員2人で話し合い、思いを込めたスペシャルなケーキが贈られました。プレゼントとともに、たくさんの愛情をいただきましたよね、お嬢様。