センバツ高校野球 中央学院、勢い及ばず 粘りの野球、最後まで /千葉
第96回選抜高校野球大会第10日の30日、中央学院は準決勝で報徳学園(兵庫)に2-4で敗れ、春夏通じて初の決勝進出を逃した。1点を追う四回表に颯佐心汰(3年)の適時三塁打で同点に追いついたが、四回に2点を奪われて勝ち越された。八回に青木勝吾(同)の二塁打と水嶋悠(同)の適時打で1点追加するも、及ばなかった。終盤まで粘り強く戦った選手たちに、アルプス席から惜しみない声援が送られた。【林帆南、小坂春乃、来住哲司】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 3点を追う八回、2死二塁で水嶋が左前打。「水嶋のヒットを無駄にしたくない」と二塁走者の青木は迷わず本塁に飛び込んだ。間一髪のタイミングで生還、2点差に縮めた。青木は「ベンチは誰一人諦めていなかった」と話す。まさに終盤の粘り強さは「中央学院らしい」戦い方だった。 九回は、2死二、三塁と一打同点の場面を迎え、報徳学園の先発間木歩(同)を引きずり下ろした。だが、岩崎伸哉(同)は左飛に倒れ、万事休した。 試合は一回に先頭打者の単打を許すなどして1点を先制されたが、四回2死二塁で、颯佐の左越え適時三塁打で追いついた。父優さん(45)は「この場でヒットを打てることがすごい。チームが勝つために頑張ってほしい」と見守った。 投げては先発の臼井夕馬(同)、蔵並龍之介(同)、颯佐の3投手の早めの継投。捕手の飯山成夢(同)は「みんな連戦の疲れも感じさせない、良いピッチングをしていた」と振り返る。 アルプスのOBらは堂々とプレーした選手たちの健闘をたたえた。この春卒業した前主将の佐久間源一郎さん(18)は「悔しいと思うが、よく頑張った」。2018年の甲子園初出場時に二刀流として注目された元社会人野球選手の大谷拓海さん(23)も観戦し「憧れて入ってくれた子たちが僕たちの記録を超えてくれたことが一番うれしい。夏も挑戦者の気持ちで頑張ってほしい」と願いを込めた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇準決勝の壁は厚く 中央学院 水嶋悠外野手(3年) 3点を追う八回表、2死二塁の好機で「ランナーを還してやろう」と打席に入った。2球目の直球を左方向へ飛ばす気持ちで、コンパクトにバットを振ると、ボールは左前に運ばれ、二塁走者の青木勝吾(3年)が生還。「まだまだ」と闘志を燃やしたものの、勝利には届かなかった。 昨年の秋季大会はチーム最多の12盗塁をマーク。もともと同学年の中でも足が速い方ではなかったが、コーチに教わった走り方を心がける中で、速く走れるようになった。 この冬は朝の自主練でバッティングに重点を置いたことで、調子も上がっていた。身長166センチと小柄ながらパンチ力があり、長打が出るのは持ち味だ。 しかし、準決勝では好投手を相手に、最初の打席から見逃し三振。「そもそも出塁できず、走塁を絡めた攻撃ができなかった」と悔しさをにじませる。 小中学と同じチームで野球をし、甲子園にも応援に駆け付けた弟の陽久さん(15)がこの春、兄を追って中央学院に入学する。「ともに野球できるのはうれしい。夏は一緒に甲子園に戻ってきたい」と力を込めた。【林帆南】