<アグレッシブ・’21センバツ東海大甲府>第1部 軌跡/2 2年生を積極起用 夏経験、大きな自信 /山梨
◇「先輩の分も」思い強く 5年ぶりに夏を制した独自大会が終わり、2年生主体の新チームが発足したのは8月中旬。村中秀人監督は選手たちを前に「アグレッシブ」というチームスローガンを発表した。「我慢する時は我慢し、攻める時は一気に攻める。そういうプレーをしてほしい」。そんな思いを込めた。 9月5日に開幕した秋季県大会で選手たちはスローガンを地でいくような戦いぶりを見せた。1、2回戦はコールド勝ち。続く甲府工、富士学苑、日本航空との対戦も危なげなく勝ち抜き、終わってみれば毎試合2桁安打を記録する攻撃的な野球で2年ぶり12回目の頂点に立った。 この快進撃の伏線には、秋を見据えた独自大会での選手起用があった。新型コロナウイルスの影響で中止になった夏の県大会の代わりに開かれた独自大会の決勝は例年より20日ほど日程がずれ込み、秋季県大会の開幕までは時間がなかった。そのため、村中監督は独自大会で三浦諒太主将や若山恵斗投手ら2年生を積極的に起用し、経験を積ませていた。 若山投手は4試合に登板し、3回戦と準決勝では完投。ライバル、山梨学院との決勝では七回から登板し、3回を無失点で切り抜けた。「夏の経験が自信になり、緊張することなく投げられた」と若山投手は振り返る。 また、甲子園の土を踏むことなく引退した3年生の存在が選手たちの気持ちを後押ししていた。独自大会の決勝後、「おまえたちは甲子園にいけよ」と声を掛けられた三浦主将は3年生の悔しさを身にしみて感じていた。だから新チーム発足後、チームメートに「先輩たちの分も甲子園にいこう」と繰り返し伝えてきた。 後輩に夢を託した3年生も支援を惜しまず、秋季県大会の山場の一つとなった甲府工との準々決勝前には独自大会のエース、亀井康生さん(3年)が打撃投手を務めた。投球スタイルが甲府工のエースと似ていたことから、亀井さんが自ら買って出た。三浦主将は「100球以上投げてくれた。自分たちに期待してくれていると感じた。より勝ちたいという気持ちが強まった」。甲府工戦でソロ本塁打を放った久井竣也選手(2年)も「3年生が自分たちのために時間を費やしてくれ、本当にありがたかった」と感謝を口にした。【金子昇太】=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ◇2020年秋季県大会の結果 1回戦 ○ 9―2 甲府一(八回コールド) 2回戦 ○11―1 日大明誠(六回コールド) 準々決勝 ○ 6―3 甲府工 準決勝 ○ 7―3 富士学苑 決勝 ○10―2 日本航空