高額も納得の特殊素材でソーラー文字盤表現の限界を突破したカシオウオッチ50周年記念限定「オシアナス マンタ」開発秘話
–ただ、ガリウムタフソーラーセルは過去にG-SHOCKの2モデルでも使っていますよね? 黒羽さん:それらはかなりの少量生産でしたが、今回のオシアナスの限定本数は350本。これだけの量産化をするための品質管理、製造体制を構築するという点でも新たな試みとなっています。 –ガリウムはレアメタルにも指定されている素材で、かなり高額だと聞いています。実際にOCW-SG1000ZEも定価で55万円となっていますが、具体的にどのようなメリットがユーザーにあるのでしょうか? 黒羽さん:既存のシリコン系ソーラーセルと大きく違うのが照度による発電量です。そもそもの発電量もガリウムの方が通常品よりも2倍から5倍程度の高効率化が図れます。さらに通常品だと1万ルクスより強い光を浴びても発電量はほぼ横ばいとなるのに対し、ガリウムでは1万ルクスを超えても照度と比例して発電量が増えていく、と。結果、1万ルクス以下の照度でシリコンと発電量が同等になるまでガリウムを小型化したとしても、1万ルクスより強い高照度において充電速度が高速化されます。こうした機能進化に加え、デザイン進化もあります。ガリウムを使うことで文字盤の素材の自由度が飛躍的に高まったおかげで、OCW-SG1000ZEでは金属文字盤を使った高品位な表現が可能になりました。
黒羽さん:ガリウムタフソーラーセルは肉抜きしたカレンダーディスクの下層に配置しているのですが、日付の並びで何か気づくことはありませんか? –1、17、2、18、3、19……数字が1日飛ばしで並んでいますね。 黒羽さん:はい、これは遮光分散型ソーラーセルの考え方を応用し、ソーラーセルに光が当たる面積を平均化するために数字をスキップして配置しているのです。 –確かに! 光発電のことに集中しすぎて忘れていましたが、マルチバンド6とBluetooth接続にも対応していましたね。