実家の両親はすでに80代。万一の場合、「空き家」になった実家はどうなる?「相続放棄」しても管理する必要があるの? 放置がNGな理由もあわせて解説
40~50代になってくると、両親の体調が心配になることが多いもの。特に、将来の悩みの種となるものの1つが、親が住まなくなった後「空き家」となる実家です。 空き家を相続すると、建物と土地を売却することで現金に換えることができますが、放置するとさまざまなデメリット・注意点が生じることを知る必要があります。 本記事では、空き家を放置することのデメリットや、空き家を相続した場合に知っておきたい注意点などを紹介します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
空き家を放置することのデメリット
両親が死去した、あるいは老人ホームに入居して使われなくなった空き家は、なるべく早く処分を検討する必要があります。「いつか売れば財産になるからそのままにしておこう」と考えてしまうと、さまざまなデメリットが生じます。 まず、固定資産税がかかり続けること。空き家を相続した場合、たとえ自分が住んでいなくても固定資産税が発生します。住んでもいない土地と建物の固定資産税を支払うことは、経済的に大きなダメージになります。 また、実家を適切に管理できないと行政から「特定空き家」に認定されることがあります。特定空き家は保安・衛生・景観保全などの観点から、放置するのは危険であると行政に判断された空き家のことです。 特定空き家は、固定資産税が減額される「住宅用地の特例」の対象外であり、固定資産税が最大で6倍になります。 また、特定空き家に認定されると所有者に改善命令が出されるケースがあり、無視すると50万円以下の過料が科される場合があります。無視し続けて行政代執行で建物が取り壊された場合、その費用まで請求されることになるでしょう。
相続放棄すれば空き家の管理はしなくて良い?
見てきた通り、空き家を相続すると、さまざまな問題や管理責任が生じる可能性があります。では、相続を放棄した場合はどうでしょうか。相続放棄とは、亡くなった親などが残した財産を一切引き継がないことを指します。 相続放棄が裁判所に受理されると相続に関して一切関与できなくなり、相続していない以上、固定資産税を支払う必要はありません。 ただし、相続放棄をしても、ただちに管理義務から逃れられるわけではありません。相続放棄をしたとしても自分が相続財産を占有しているとき、次に遺産を相続する順位にある法定相続人の管理開始までは、その遺産の管理責任があります。 また、相続放棄は親が亡くなってから3ヶ月以内に行わなくてはいけないことや、相続放棄をすると実家だけでなく全ての財産を相続する権利を失うなどの注意点があります。